ここしばらくは、五藤光学テレパック60-ALの改造・運用に注力しておりますが、今回は50数年前テレパックが現行販売されていた当時の天文ガイド裏表紙広告を考察していきたいと思います。
裏表紙と言えば「雑誌広告のポールポジション」ですが、当時は五藤光学の定位置で自分の天文趣味黎明期にはここにマクストフやマークXが載ってました。テレパックはそれより少し前なので、さすがの自分も「リアタイ」ではないです。今回の広告画像はすべてサジモトさんからご提供いただいたものになります。
まず、1969年(昭和44年)6月5日発行分(「7月号」になるのでしょうか?)。
これはデパートのメガネ売り場? 大阪万博のコンパニオンみたいなベレー帽にミニスカートのお姉さんと中学生風の少年が楽しそうにテレパック(50-AL)のデモを行ってます。何という夢のある絵面なのでしょうか(笑)。左の方に店員みたいな人が見切れているので、実際の店舗だと思いますが、このシーンは左上にある「五藤天体望遠鏡新学期セール」の一コマの可能性もあり、コスチュームのお姉さんもセールのイベントのために雇っていたのかも知れないですね。
さて、この広告だけでも様々なパワーワードが散りばめられていますので、以下いちいち突っ込んでいきたいと思います(笑)
レンズはプロ級
この後の広告でも繰り返し出てくる、テレパックのキャッチフレーズとも言えるものですね。しかし少なくともわたくし現有の60-ALのレンズは確かに「プロ級」でした。品質は間違いないのですからもうちょっと言いようがあった気も・・・
カッコいいバッグ
制服メガネ少年が肩にバッグを携えたいでたちは確かに「カッコいい」。「俺の後ろに立つな」とか言いながらビルの屋上から狙撃できる勢い!(笑)
おネダン
カタカナの当て方(笑)。ちなみに1969年の消費者物価指数から現在の価値では約4.1倍になると想定すると
テレパック50-SM 14,000円 → 57,400円
テレパック50-AL 19,500円 → 79,950円
テレパック60-AL 26,000円 → 106,600円
うーん・・・高い(笑)特に50-SMは架台に微動がない廉価バージョンで、今で言えばスコープテックのラプトル50相当になるでしょうか。ラプトル50は2023年2月現在13,900円ポッキリで買えます。やはり望遠鏡は圧倒的に今の方がコストダウンされていますね。
五藤スペースクラブ
(GSC)
入りたい。しかしおそらく四国在住者にはあんまり意味なかったであろう。
天文教室
四国在住者にはますます関係ねえ(笑)
続いて1969年(昭和44年)9月5日発行分。
ソフトイメージ路線からいきなりハードマニアック路線へ
6枚同時研磨
いや、誰がどう数えても7枚(笑)
色収差・球面収差・・・かみしめることができるでしょう
全体的に少し日本語がおかしく「プロ級のレンズ」の根拠としてはかなり弱い。「テレパックなら安心」に至っては「創業**年の業歴と経験豊富の信用ある・・・」と同レベルの説得力のなさ(笑)
そう考えると「プロ級のレンズ」「テレパックなら安心」「使えば使うほど価値がわかる」「シーイング5ーこのときテレパックの価値は、決まる」などは価格競争とは別次元のブランドを構築しようというプロパガンダにも思えてきます。「ちょっと高いけど普及品とは一線を画した望遠鏡、使えばわかる」といったところでしょうけど、それが販売に反映するまでには行かなかったようです。
テレパック以前の五藤光学は学校備品のシェアをほぼ独占し圧倒的な数をさばいてきましたが、一般向け望遠鏡ではタカハシのような独自の立ち位置を構築できず、1989年(平成元年)に一般アマチュア向けの望遠鏡から撤退することになりました。調べていくとテレパックがその凋落のきっかけを作ったような気がしてなりません。何と言うか、繫栄した恐竜が絶滅していくような寂しさを感じました。さしづめ、わたくしの手元にあるテレパックは「小さな恐竜の生き残り」といったところでしょうか。
これらの物語に思いを馳せながら、2012年に設立された五藤テレスコープさんの健闘も祈りつつ、今後もテレパックの「プロ級のレンズ」を楽しんでいこうと思います(笑)。
***
2/7追記
ちむらさんよりテレパック新発売当時の「天文と気象」の広告画像をいただきました!
1968年(昭和43年)4月1日発行分ですね。記事冒頭のコンパニオンさんのいる広告から1年ちょっと前のものになります。
月や惑星が楽しく観測できます
そう、この望遠鏡の対象はズバリこれです! 間違っても「色鮮やかな三裂星雲が見える」的なミスリードは一切なし!。
見栄を捨て、ほんとうの天体観測に向くようにしてあることが感心です
いやいや、プロの評価もなんと快く響くことでしょう。一種の上から目線ではあるのですが(笑)
野鳥の観察や撮影に
わが意を得たり! わたくしも先日テレパックでムクドリを観察・撮影していました!
(テレパック60-AL H25㎜36倍によるコリメート撮影)
いや、この「天文と気象」バージョンもオーソドックスでいいのですが、何だか「天文ガイド」裏表紙の広告と比べて
物足りない
感じはありますね・・・と考えてると、そうだ、御三家的な「大げさ、ハッタリ、怪しい、まぎらわしい」要素が欠けているのです(笑)
これではっきりしました。あえて言おう、今の天文界に致命的に欠けているのは御三家要素であると!(笑)
***
2/9追記
ちむらさんよりの「天文と気象」の広告画像追加です!
1971年(昭和46年)1月1日発行分ですね。テレパック「新発売」から3年弱経過のものになります。
なんていい顔をしているのでしょうか。アウトドアスポーツのアスリート並みに日焼けした白い歯の少年が肩越しの笑顔を見せています! もちろん不動のキャッチフレーズ〈プロ級のレンズ〉も健在!
キミの勉強部屋にもテレパック!
くだんの「勉強部屋」には50-ALと思われるテレパックはもちろん、壁には月面写真が貼られ、机上には無線のマイクと無線雑誌? のようなもの、棚の上には無線機? の本体・・・コンセント配線の乱雑さは、実際こういう部屋にこの少年が住んでた? とも考えられるリアリティですね。と言うかアンタ、この部屋「勉強部屋」という名目の趣味の城だよね?(笑) 科学少年みんなが希求する垂涎の秘密基地が具現化しております!
テレパックがなかったころは、天体望遠鏡はただの教材器具に過ぎなかった
いや、少し意味わからんのですけど? 「教材器具」とか少年言わんて。大人の視点やて(笑)。素直に「テレパックがなかったころは、天体望遠鏡は手の届かない憧れだった」でいいでしょ。いや、わしも50年前の広告に何マジレスしてるのか、ですけど(笑)
しかしこの撮影当時、彼が10代前半だったとすると現在は60代。星を続けておられたとしたら、「あれわしや」って感じにお会いできる機会もなくもないですね!
こちらは1969年(昭和44年)10月1日発行分
テレパックが現行当時の上級機種と思われます。バックの「火気厳禁」は五藤光学の府中工場?
五藤光学44年の経験と技術
しかしこういったフレーズに「御三家要素」を感じてしまうのはこちらの心が毒され過ぎ?(笑)
例によって物価指数4.1を乗ずると
6,5㎝赤道儀 ¥50,000 → ¥205,000
8㎝赤道儀 ¥87,000 → ¥356,700
これは完全に「高級機」ですね。各部にもコストがかかってそうです。程度の良いものが現存していたら非常に良く見えそうな気がしますね。でもテレパックと違って重そうだから個人的には稼働できないかな?
というわけで追記に追記をかさねててキリがないのですが、そうせざるを得ないパワーがこの時代の広告にはありますね! 元画像があればまだまだやりそう(笑)
裏表紙と言えば「雑誌広告のポールポジション」ですが、当時は五藤光学の定位置で自分の天文趣味黎明期にはここにマクストフやマークXが載ってました。テレパックはそれより少し前なので、さすがの自分も「リアタイ」ではないです。今回の広告画像はすべてサジモトさんからご提供いただいたものになります。
まず、1969年(昭和44年)6月5日発行分(「7月号」になるのでしょうか?)。
これはデパートのメガネ売り場? 大阪万博のコンパニオンみたいなベレー帽にミニスカートのお姉さんと中学生風の少年が楽しそうにテレパック(50-AL)のデモを行ってます。何という夢のある絵面なのでしょうか(笑)。左の方に店員みたいな人が見切れているので、実際の店舗だと思いますが、このシーンは左上にある「五藤天体望遠鏡新学期セール」の一コマの可能性もあり、コスチュームのお姉さんもセールのイベントのために雇っていたのかも知れないですね。
さて、この広告だけでも様々なパワーワードが散りばめられていますので、以下いちいち突っ込んでいきたいと思います(笑)
レンズはプロ級
この後の広告でも繰り返し出てくる、テレパックのキャッチフレーズとも言えるものですね。しかし少なくともわたくし現有の60-ALのレンズは確かに「プロ級」でした。品質は間違いないのですからもうちょっと言いようがあった気も・・・
カッコいいバッグ
制服メガネ少年が肩にバッグを携えたいでたちは確かに「カッコいい」。「俺の後ろに立つな」とか言いながらビルの屋上から狙撃できる勢い!(笑)
おネダン
カタカナの当て方(笑)。ちなみに1969年の消費者物価指数から現在の価値では約4.1倍になると想定すると
テレパック50-SM 14,000円 → 57,400円
テレパック50-AL 19,500円 → 79,950円
テレパック60-AL 26,000円 → 106,600円
うーん・・・高い(笑)特に50-SMは架台に微動がない廉価バージョンで、今で言えばスコープテックのラプトル50相当になるでしょうか。ラプトル50は2023年2月現在13,900円ポッキリで買えます。やはり望遠鏡は圧倒的に今の方がコストダウンされていますね。
五藤スペースクラブ
(GSC)
入りたい。しかしおそらく四国在住者にはあんまり意味なかったであろう。
天文教室
四国在住者にはますます関係ねえ(笑)
続いて1969年(昭和44年)9月5日発行分。
ソフトイメージ路線からいきなりハードマニアック路線へ
6枚同時研磨
いや、誰がどう数えても7枚(笑)
色収差・球面収差・・・かみしめることができるでしょう
全体的に少し日本語がおかしく「プロ級のレンズ」の根拠としてはかなり弱い。「テレパックなら安心」に至っては「創業**年の業歴と経験豊富の信用ある・・・」と同レベルの説得力のなさ(笑)
1969年(昭和44年)12月5日発行分。
テレパックの仕様そのものを知ってもらおうという、ある意味正攻法の路線。怪獣図解みたいで個人的には高評価。
使えば使うほど価値がわかる
これはそれなりに納得。しかし光学系にはそれが言えるが、架台は使えば使うほど面倒がわかるという感じ(笑)
新設計のフリークランプは、ワンタッチで目的の星をとらえる
ノーマル状態のボルトでフリクションを調整するという状態では、フリークランプはまず無理。「クランプで随時フリクションを調整することができれば何とかフリーストップで使えなくもない」構造なので、素直にクランプを設けてほしかった。
一回のセットにより2時間、天体を追せきできる微動装置
バネで突っ張ったタンジェント部分微動だけど、少なくとも自分の個体では半分くらいネジ込んだ時点で回すのが重くなり望遠鏡の向きがずれるほどなので、快適に使えるのは多めに見積もっても20分程度。天体が南中付近で水平微動ばかり使ってると10分ぐらいで「巻き戻し」を強いられる。2時間がどういう計算かわからないが、単純に30°可動範囲がある、っていうだけの話か?
テレパックの仕様そのものを知ってもらおうという、ある意味正攻法の路線。怪獣図解みたいで個人的には高評価。
使えば使うほど価値がわかる
これはそれなりに納得。しかし光学系にはそれが言えるが、架台は使えば使うほど面倒がわかるという感じ(笑)
新設計のフリークランプは、ワンタッチで目的の星をとらえる
ノーマル状態のボルトでフリクションを調整するという状態では、フリークランプはまず無理。「クランプで随時フリクションを調整することができれば何とかフリーストップで使えなくもない」構造なので、素直にクランプを設けてほしかった。
一回のセットにより2時間、天体を追せきできる微動装置
バネで突っ張ったタンジェント部分微動だけど、
その後、分解調整で微動がだいぶ軽くなり、稼働ストロークも稼げるようになりました。「2時間追せき」は試してませんが、1時間程度の観望では問題なく使えるように。これが新品納品の状態だったかな、と思います。
大学の研究室で使われているのと同じ品質のアイピース
これはその通り。付属の3つのアイピースは全てシャープネス・コントラストとも素晴らしく、買い足しの必要がない。
深さ10㎜の円板のため小物が落ちない
いや10㎜は壁として低すぎる。ちょっと油断してたらアイピース転がってって実際に落としましたけど(笑)
1969年(昭和44年)12月5日発行分。
再びマニアック路線に。まあ、こういう具体的な情報で性能をアピールするほうが一定の客観性がありますね。あ、ちなみにわたくしは「ポシドニウスの谷」は見たことないので、いつかテレパックで検出を成功させたいですね。
苦闘7たび
誰が7回も苦闘したのか不明。社内の人なのか委託されたハイ・アマチュアなのか。さらに月齢19日午前2時ごろを7回(最短7か月)にわたってトライしたんでしょうかね? 月面の世界も深いな、と思いました。
<プロ級のレンズ>だからこの千載一隅のチャンスを
なるほど、そこにプロ級のレンズの意味が。確かにせっかく好シーイングのチャンスがあっても光学性能が悪ければ見えないわけであって。
シーイング5ーこのときテレパックの価値は、決まる
最良の気流条件ではじめて光学系の限界性能が生きると・・・これは自信と誇りの表れでしょうね。こういうプライド表明は悪くない。コンセプトとしては「違いがわかる男の・・・」に近いかも。
1970年(昭和45年)9月5日発行分。
新学期にコンパニオンのお姉さんからテレパックを買った彼は、1年余りでこのような観測ライフに移行して行ったのでしょうか。少年のダンディズムというか、硬派なロマンが感じられます。まあ、こんな軽装で望遠鏡以外の周辺機器もなしに観測とか「そーんな奴おらへんやろー」なのですが、そいつは言わねえ約束で(笑)
かっこいい携帯バッグで・・・記録が残る。
相変わらず日本語が微妙におかしい。担当者が無理に「一片のポエム」書かされてる?
バッグ¥2,950
これは真面目に欲しい。しかし生産者物価係数4.1倍をかけてみたら、¥2,950 → ¥12,095 やはり高いかな・・・いや、こんなもんかな(笑)
<天文ファン求む>
えっ、こんな求人、あり? と言うか変にバイアスかかった天文ファンに入社してこられても望遠鏡メーカーとしては面倒なだけなのでは? とも。
今月から定価150円
これはテレパックでなく天文ガイドの話ですが120円→150円は結構な値上げですね。天文少年には痛かったのではないでしょうか。
***
最後はおまけ
1973年(昭和48年)3月5日発行分。
2年半経過して天文ガイドも180円に。テレパックは後継機種の「生徒用望遠鏡」ST-5型・ST-6型にスイッチしました。これらは、架台に目盛りがある以外はほとんどテレパックと同じ気がします。テレパックの高性能をそのままに、ということなので機会があれば一度使ってみたいですね。
探している星がスグ見つかります
いや、当時は手計算せんと高度や方位わからんから「スグ」は無理やろ(笑)
生徒用望遠鏡ST-6型 ¥34,000
1973年の消費者物価指数を鑑みた3.1倍を乗ずると105,400円。テレパック60-ALの1969年換算の106,600円とほぼ同じレベル。インフレ時代の適正値上げとも言えるでしょうが、やっぱりテレパック・ST通じて他社より少し高かったんでしょうね。
***
もともと、理振法の改定を先読みし学校用途をにらんで開発されたテレパックですが、実際の改定内容と合致せず一般販売にスイッチせざるを得なくなりました。その販促のため、一番目に付く雑誌裏表紙のスペースに掲載されたのでしょうか。
その後、規格に合わせるべくテレパックを手直しし「新理科教育設備基準該当品」としたST-5型・ST-6型が仕上がったのでテレパックは必要なくなった、という経緯なのかと思います。
***
と言うわけで、テレパックの広告について自分勝手に(部分的にはボロクソに)書いてしまいましたが、華やかでパワーやロマン、様々なものを内包した素晴らしい広告内容だったと思います。まさに、天文雑誌の裏表紙を飾るにふさわしいですね。
この時代、ミザールが1965年に32,000円で発売した10㎝F10反射赤道儀のH-100型のヒットにより1969年には国内シェア55%を獲得し業界最大手となったそうです。当時のミザールの廉価モデル、「6㎝微動なし屈折経緯台」の「ゼンゲル型」は6,400円。テレパック50-STの14,000円に比較すると相当安いですね。こういった低価格モデルがあったのもミザールのシェア獲得に有利ではなかったと。さらに「6㎝屈経」にしか過ぎないテレパック60-ALを26,000円で買うのなら、もう少し頑張って「10㎝反赤」のH-100型を32,000円で買う方がそりゃいいですよね。
大学の研究室で使われているのと同じ品質のアイピース
これはその通り。付属の3つのアイピースは全てシャープネス・コントラストとも素晴らしく、買い足しの必要がない。
深さ10㎜の円板のため小物が落ちない
いや10㎜は壁として低すぎる。ちょっと油断してたらアイピース転がってって実際に落としましたけど(笑)
1969年(昭和44年)12月5日発行分。
再びマニアック路線に。まあ、こういう具体的な情報で性能をアピールするほうが一定の客観性がありますね。あ、ちなみにわたくしは「ポシドニウスの谷」は見たことないので、いつかテレパックで検出を成功させたいですね。
苦闘7たび
誰が7回も苦闘したのか不明。社内の人なのか委託されたハイ・アマチュアなのか。さらに月齢19日午前2時ごろを7回(最短7か月)にわたってトライしたんでしょうかね? 月面の世界も深いな、と思いました。
<プロ級のレンズ>だからこの千載一隅のチャンスを
なるほど、そこにプロ級のレンズの意味が。確かにせっかく好シーイングのチャンスがあっても光学性能が悪ければ見えないわけであって。
シーイング5ーこのときテレパックの価値は、決まる
最良の気流条件ではじめて光学系の限界性能が生きると・・・これは自信と誇りの表れでしょうね。こういうプライド表明は悪くない。コンセプトとしては「違いがわかる男の・・・」に近いかも。
1970年(昭和45年)9月5日発行分。
新学期にコンパニオンのお姉さんからテレパックを買った彼は、1年余りでこのような観測ライフに移行して行ったのでしょうか。少年のダンディズムというか、硬派なロマンが感じられます。まあ、こんな軽装で望遠鏡以外の周辺機器もなしに観測とか「そーんな奴おらへんやろー」なのですが、そいつは言わねえ約束で(笑)
かっこいい携帯バッグで・・・記録が残る。
相変わらず日本語が微妙におかしい。担当者が無理に「一片のポエム」書かされてる?
バッグ¥2,950
これは真面目に欲しい。しかし生産者物価係数4.1倍をかけてみたら、¥2,950 → ¥12,095 やはり高いかな・・・いや、こんなもんかな(笑)
<天文ファン求む>
えっ、こんな求人、あり? と言うか変にバイアスかかった天文ファンに入社してこられても望遠鏡メーカーとしては面倒なだけなのでは? とも。
今月から定価150円
これはテレパックでなく天文ガイドの話ですが120円→150円は結構な値上げですね。天文少年には痛かったのではないでしょうか。
***
最後はおまけ
1973年(昭和48年)3月5日発行分。
2年半経過して天文ガイドも180円に。テレパックは後継機種の「生徒用望遠鏡」ST-5型・ST-6型にスイッチしました。これらは、架台に目盛りがある以外はほとんどテレパックと同じ気がします。テレパックの高性能をそのままに、ということなので機会があれば一度使ってみたいですね。
探している星がスグ見つかります
いや、当時は手計算せんと高度や方位わからんから「スグ」は無理やろ(笑)
生徒用望遠鏡ST-6型 ¥34,000
1973年の消費者物価指数を鑑みた3.1倍を乗ずると105,400円。テレパック60-ALの1969年換算の106,600円とほぼ同じレベル。インフレ時代の適正値上げとも言えるでしょうが、やっぱりテレパック・ST通じて他社より少し高かったんでしょうね。
***
もともと、理振法の改定を先読みし学校用途をにらんで開発されたテレパックですが、実際の改定内容と合致せず一般販売にスイッチせざるを得なくなりました。その販促のため、一番目に付く雑誌裏表紙のスペースに掲載されたのでしょうか。
その後、規格に合わせるべくテレパックを手直しし「新理科教育設備基準該当品」としたST-5型・ST-6型が仕上がったのでテレパックは必要なくなった、という経緯なのかと思います。
***
と言うわけで、テレパックの広告について自分勝手に(部分的にはボロクソに)書いてしまいましたが、華やかでパワーやロマン、様々なものを内包した素晴らしい広告内容だったと思います。まさに、天文雑誌の裏表紙を飾るにふさわしいですね。
この時代、ミザールが1965年に32,000円で発売した10㎝F10反射赤道儀のH-100型のヒットにより1969年には国内シェア55%を獲得し業界最大手となったそうです。当時のミザールの廉価モデル、「6㎝微動なし屈折経緯台」の「ゼンゲル型」は6,400円。テレパック50-STの14,000円に比較すると相当安いですね。こういった低価格モデルがあったのもミザールのシェア獲得に有利ではなかったと。さらに「6㎝屈経」にしか過ぎないテレパック60-ALを26,000円で買うのなら、もう少し頑張って「10㎝反赤」のH-100型を32,000円で買う方がそりゃいいですよね。
そう考えると「プロ級のレンズ」「テレパックなら安心」「使えば使うほど価値がわかる」「シーイング5ーこのときテレパックの価値は、決まる」などは価格競争とは別次元のブランドを構築しようというプロパガンダにも思えてきます。「ちょっと高いけど普及品とは一線を画した望遠鏡、使えばわかる」といったところでしょうけど、それが販売に反映するまでには行かなかったようです。
テレパック以前の五藤光学は学校備品のシェアをほぼ独占し圧倒的な数をさばいてきましたが、一般向け望遠鏡ではタカハシのような独自の立ち位置を構築できず、1989年(平成元年)に一般アマチュア向けの望遠鏡から撤退することになりました。調べていくとテレパックがその凋落のきっかけを作ったような気がしてなりません。何と言うか、繫栄した恐竜が絶滅していくような寂しさを感じました。さしづめ、わたくしの手元にあるテレパックは「小さな恐竜の生き残り」といったところでしょうか。
これらの物語に思いを馳せながら、2012年に設立された五藤テレスコープさんの健闘も祈りつつ、今後もテレパックの「プロ級のレンズ」を楽しんでいこうと思います(笑)。
***
2/7追記
ちむらさんよりテレパック新発売当時の「天文と気象」の広告画像をいただきました!
1968年(昭和43年)4月1日発行分ですね。記事冒頭のコンパニオンさんのいる広告から1年ちょっと前のものになります。
天文学者古畑正秋先生のコメントも含め、天文ガイドの広告とはうって変わって渋く誠実な感じがしますね。この辺は販売元の内田洋行の意向もあったのでしょうか。「レンズはプロ級」のレの字もありません(笑)。
月や惑星が楽しく観測できます
そう、この望遠鏡の対象はズバリこれです! 間違っても「色鮮やかな三裂星雲が見える」的なミスリードは一切なし!。
見栄を捨て、ほんとうの天体観測に向くようにしてあることが感心です
いやいや、プロの評価もなんと快く響くことでしょう。一種の上から目線ではあるのですが(笑)
野鳥の観察や撮影に
わが意を得たり! わたくしも先日テレパックでムクドリを観察・撮影していました!
(テレパック60-AL H25㎜36倍によるコリメート撮影)
いや、この「天文と気象」バージョンもオーソドックスでいいのですが、何だか「天文ガイド」裏表紙の広告と比べて
物足りない
感じはありますね・・・と考えてると、そうだ、御三家的な「大げさ、ハッタリ、怪しい、まぎらわしい」要素が欠けているのです(笑)
***
2/9追記
ちむらさんよりの「天文と気象」の広告画像追加です!
1971年(昭和46年)1月1日発行分ですね。テレパック「新発売」から3年弱経過のものになります。
なんていい顔をしているのでしょうか。アウトドアスポーツのアスリート並みに日焼けした白い歯の少年が肩越しの笑顔を見せています! もちろん不動のキャッチフレーズ〈プロ級のレンズ〉も健在!
キミの勉強部屋にもテレパック!
くだんの「勉強部屋」には50-ALと思われるテレパックはもちろん、壁には月面写真が貼られ、机上には無線のマイクと無線雑誌? のようなもの、棚の上には無線機? の本体・・・コンセント配線の乱雑さは、実際こういう部屋にこの少年が住んでた? とも考えられるリアリティですね。と言うかアンタ、この部屋「勉強部屋」という名目の趣味の城だよね?(笑) 科学少年みんなが希求する垂涎の秘密基地が具現化しております!
テレパックがなかったころは、天体望遠鏡はただの教材器具に過ぎなかった
いや、少し意味わからんのですけど? 「教材器具」とか少年言わんて。大人の視点やて(笑)。素直に「テレパックがなかったころは、天体望遠鏡は手の届かない憧れだった」でいいでしょ。いや、わしも50年前の広告に何マジレスしてるのか、ですけど(笑)
しかしこの撮影当時、彼が10代前半だったとすると現在は60代。星を続けておられたとしたら、「あれわしや」って感じにお会いできる機会もなくもないですね!
こちらは1969年(昭和44年)10月1日発行分
テレパックが現行当時の上級機種と思われます。バックの「火気厳禁」は五藤光学の府中工場?
五藤光学44年の経験と技術
しかしこういったフレーズに「御三家要素」を感じてしまうのはこちらの心が毒され過ぎ?(笑)
例によって物価指数4.1を乗ずると
6,5㎝赤道儀 ¥50,000 → ¥205,000
8㎝赤道儀 ¥87,000 → ¥356,700
これは完全に「高級機」ですね。各部にもコストがかかってそうです。程度の良いものが現存していたら非常に良く見えそうな気がしますね。でもテレパックと違って重そうだから個人的には稼働できないかな?
というわけで追記に追記をかさねててキリがないのですが、そうせざるを得ないパワーがこの時代の広告にはありますね! 元画像があればまだまだやりそう(笑)
コメント
コメント一覧 (8)
uwakinabokura
がしました
軽いですねえ。
これなら小学生でも簡単に持ち運べますわ。
三脚が華奢そうに見えたんですが、組み立ててみたら意外としっかりしてました。
ただ、架台のグリスが経年変化で固着しているようで、水平回転ができずでした。
uwakinabokura
がしました
3台もあったかなあ? と、6年前に初めて博物館を見学したときに写した写真を調べたら、確かにST-6と思われる望遠鏡が3台写ってましたわ。^^;
uwakinabokura
がしました
授業で使った記憶は無いし
uwakinabokura
がしました