CP+2023の、あぷらなーとさんの講演「アクロマートで星雲を楽しむための3ステップ」を見て短焦点アクロマートの優れたコストパフォーマンスに感じ入るとともに、講演テーマとは別な発想を持ちました。それは
短焦点アクロマートにテレセントリックバーローを併用すれば、長焦点アクロマート並みの解像度を実現できるのか
です。さらにアイピースにはハイゲンスを使えば、アクロマート特有の色収差を少し軽減できるかも知れません。短焦点は何と言っても短い鏡筒がメリットなので、これが月惑星に稼働できるとやはり便利です。
さっそく検証。今回はミザールBN-80、8㎝F5アクロマート鏡筒を使います。
この鏡筒は伝統的なアクロマートでC線とF線を一致させたタイプ。眼視性能を重視した設計と聞いてますが、個人的にはデュアル・ナローバンドフィルター等を使用した電視観望でもそれなりに実績をあげています。
(M27 0.87×レデューサー fl=348㎜ QHY485C gain50 8秒露出 90stack zwo duo-bandフィルター)
今回の検証用セットアップでは接眼部に初期型EMSを取り付け、正立・90°対空としました。
まずは、CZJの25-H、16倍にて。
さて、ここでExplolerScientificの5倍テレセントリックバーローを入れて、合成F25、80倍とします。
うーん、フラットになっていい感じはいい感じなんだけど、やっぱり長焦点アクロマート+ハイゲンスのような切れはないですね。
さらに、五藤光学H12.5㎜にて160倍では?
まあ、これも悪くない・・・くらいですかね。倍率を上げて細かいところが見えてくる感じはあまりないです。
さらに五藤光学HM6㎜333倍と思いっきり倍率を上げてみます。
さすがにこの倍率はかなり厳しい・・・ちなみに一応ディフラクションリングらしきものも見えるのですが、結構カラフルな感じになります。
左が8㎝F5、333倍、右はテレパック60-AL、6㎝F15、150倍でそれぞれ碍子に反射した太陽を見たものです。倍率は違いますが、こう見ると差は歴然ですね。
CZJ25-H、5倍バーロー80倍で月を見るとこんな感じでした。
眼視ではこのコリメート画像よりはだいぶシャープに見えて、まあ悪くはないんですが、やっぱり色収差がコントラストを落としてますね。そのため黒い点のような小さなクレーターが見えません。おそらく月齢が大きくなっても月面のキラキラは見えないでしょう。この後160倍で月面や木星を見たのですが、倍率を上げることで細かいところが見えてくることはなく、色収差ばかりが目立ってきますね。
やはり、短焦点アクロマートにバーローを入れたところで長焦点アクロマートと等価にはならない
という結果でした。いつもの事ですが、世の中、甘くねえ!(笑)
まあ、よく考えたらコンパクトで高倍率での結像もシャープな望遠鏡を目指してFが明るめの3枚玉アポとかがあるんですよね。SVBONYのSV550アポ鏡筒を借用インプレしてた時に
低倍率で月面キラキラが見えるかどうか確かめておけばよかったなあ・・・今更遅いですが(笑)
まあ、こういうコンパクトなアポクロマートに上位互換となられしまうのであれば、長焦点アクロマートが滅んだ経緯も当然の流れと言うことになりますね。
でもそれじゃ寂しいので「長焦点アクロマート+ハイゲンス」は、部分的にでも3枚玉アポを上回る見え味を示す! とかなったら面白いと思っているのですが・・・
ちなみに、このミザールBN-80はRFTとしての用途では非常にシャープでコントラストも良く、前述したように電視観望でも高いパフォーマンスを示す鏡筒です。また、コンパクトで取り回しの良さも光りますね。今回の記事はあくまでも月・惑星を高倍率で見るのには向いてない、という一面を部分拡大しているに過ぎないとお考え下さい。
短焦点アクロマートにテレセントリックバーローを併用すれば、長焦点アクロマート並みの解像度を実現できるのか
です。さらにアイピースにはハイゲンスを使えば、アクロマート特有の色収差を少し軽減できるかも知れません。短焦点は何と言っても短い鏡筒がメリットなので、これが月惑星に稼働できるとやはり便利です。
さっそく検証。今回はミザールBN-80、8㎝F5アクロマート鏡筒を使います。
この鏡筒は伝統的なアクロマートでC線とF線を一致させたタイプ。眼視性能を重視した設計と聞いてますが、個人的にはデュアル・ナローバンドフィルター等を使用した電視観望でもそれなりに実績をあげています。
(M27 0.87×レデューサー fl=348㎜ QHY485C gain50 8秒露出 90stack zwo duo-bandフィルター)
今回の検証用セットアップでは接眼部に初期型EMSを取り付け、正立・90°対空としました。
まずは、CZJの25-H、16倍にて。
中心部の30%くらいは非常にシャープで、人の目の感度の高い波長の球面収差が良く補正されている感じですが、周辺はボケボケですね。ただ、デフォーカスによってそれなりにシャープになるので、おそらく像面湾曲の影響が一番大きいのだと思います。まあ、もともとハイゲンス自体がF12以上の光学系に使うのを前提に設計されていますので、この辺は想定通り。
さて、ここでExplolerScientificの5倍テレセントリックバーローを入れて、合成F25、80倍とします。
うーん、フラットになっていい感じはいい感じなんだけど、やっぱり長焦点アクロマート+ハイゲンスのような切れはないですね。
さらに、五藤光学H12.5㎜にて160倍では?
まあ、これも悪くない・・・くらいですかね。倍率を上げて細かいところが見えてくる感じはあまりないです。
さらに五藤光学HM6㎜333倍と思いっきり倍率を上げてみます。
さすがにこの倍率はかなり厳しい・・・ちなみに一応ディフラクションリングらしきものも見えるのですが、結構カラフルな感じになります。
左が8㎝F5、333倍、右はテレパック60-AL、6㎝F15、150倍でそれぞれ碍子に反射した太陽を見たものです。倍率は違いますが、こう見ると差は歴然ですね。
CZJ25-H、5倍バーロー80倍で月を見るとこんな感じでした。
眼視ではこのコリメート画像よりはだいぶシャープに見えて、まあ悪くはないんですが、やっぱり色収差がコントラストを落としてますね。そのため黒い点のような小さなクレーターが見えません。おそらく月齢が大きくなっても月面のキラキラは見えないでしょう。この後160倍で月面や木星を見たのですが、倍率を上げることで細かいところが見えてくることはなく、色収差ばかりが目立ってきますね。
やはり、短焦点アクロマートにバーローを入れたところで長焦点アクロマートと等価にはならない
という結果でした。いつもの事ですが、世の中、甘くねえ!(笑)
まあ、よく考えたらコンパクトで高倍率での結像もシャープな望遠鏡を目指してFが明るめの3枚玉アポとかがあるんですよね。SVBONYのSV550アポ鏡筒を借用インプレしてた時に
低倍率で月面キラキラが見えるかどうか確かめておけばよかったなあ・・・今更遅いですが(笑)
まあ、こういうコンパクトなアポクロマートに上位互換となられしまうのであれば、長焦点アクロマートが滅んだ経緯も当然の流れと言うことになりますね。
でもそれじゃ寂しいので「長焦点アクロマート+ハイゲンス」は、部分的にでも3枚玉アポを上回る見え味を示す! とかなったら面白いと思っているのですが・・・
ちなみに、このミザールBN-80はRFTとしての用途では非常にシャープでコントラストも良く、前述したように電視観望でも高いパフォーマンスを示す鏡筒です。また、コンパクトで取り回しの良さも光りますね。今回の記事はあくまでも月・惑星を高倍率で見るのには向いてない、という一面を部分拡大しているに過ぎないとお考え下さい。
コメント
コメント一覧 (4)
uwakinabokura
がしました
対物レンズの設計と異なる収差になるのでよく見えないかもしれませんが。
uwakinabokura
がしました