何となく表明してませんでしたが、きたる4月8日の北米皆既日食、テキサス州ウェイコにて見る予定です(utoさんに同行させてもらいます)。
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(塩田和生著 花岡庸一郎監修「日食の観測と撮影」誠文堂新光社 utoさんのブログ記事を見て自分も買いましたが、素晴らしい本です!)

せっかく行くからには写真も撮る予定なのですが、もともと太陽なんか撮ったことない上に初めての皆既日食で相当バタバタするのは目に見えています。それにどうせ素晴らしい写真を撮られる方々は多数おられるでしょうから、眼視派としては、コロナを肉眼で見た人の言われる
「写真では絶対に再現できない階調と迫力」
を心に焼き付けて帰りたいところです。

もちろん肉眼の「1倍」でそのまま見ても大迫力だそうなのですが、双眼鏡で見ればなおさら素晴らしい、との事ですので今回割と長めの皆既持続時間(4分20秒ほどとのこと)の大部分を双眼鏡でコロナ見るべし! と考えました。

手揺れのないイメージで見たいので双眼鏡も手持ちではなく三脚に固定したいところですが、今回皆既中の太陽高度が68~63°との事なのでかなり高い三脚が必要になるし首の角度もきつい、できれば90°対空で椅子に腰かけて見たいなあ・・・となり、専用の90°対空双眼望遠鏡を製作することを思い立ったものです。とにかく楽な姿勢で見ないと本来見えるものも見えないですからね。

折よく、4㎝F10.5の対物レンズを持つコルキット・スピカの2個口が送料込み6,980円、残り1個との事でアマゾンで販売されていました。さっそくゲット!
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荷姿は非常にコンパクトですね。最初、一個しかない? と勘違いしたほど(笑)

50年もの伝統を誇る望遠鏡キットですが、いまだに現行商品なのがすごいです。このようなキット内容。
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基本的に紙筒を接着剤(自分は木工用ボンドを使用)で組み上げていくものですが、軽量・シンプルで必要十分の剛性、2枚の絞り環など非常に理にかなった造りとなっておりロングセラーになっているのもうなずけます。

後日の改良に備え、マニュアル通りの接着は極力おこなわずテープ等を巻いて摩擦をきつめにした状態で組んで行きます。1本目約60分、2本目は少し慣れて45分ほどで完成。
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今回ファインダーの工作は省いてます。輪ゴムはカメラねじのついた木製プレートの接着が固まるまでのサポートです。ご覧のようにアイピースにはED-lavendura34㎜、12倍の仕様です。これだと実視界が約3.8°、太陽の視直径の7倍余りとなりコロナの全景が観察できる予定です。正立プリズムで90°対空としていますが、このプリズムはMAKSY用のもので、バレルが24.5㎜、スリーブが31.7㎜となっておりスピカに31.7㎜アイピースをつけるのに非常に好都合でした。

これを2本MoreBlueの目幅調整装置に載せると・・・
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あっと言う間に(笑)4㎝F10.5、コルキット・スピカ双眼望遠鏡が完成!
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とりあえず地上風景を見てみますが、アポ条件(口径をD㎝としたときF数が2.4Dを超えればアクロマートでもアポ並みの性能となる)を満たす4㎝F10.5の対物とED-lavenduraの組み合わせは解像度・コントラストともに素晴らしく、アポ双眼の見え味をスケールダウンしたような感じでした。
独断と誤解と僭越を承知で申し上げるとNikonの最高級双眼鏡「WX」の見かけ視界を狭くしたようなイメージに思えました(それってあなたの感想ですよね、の粋を出ませんが 笑)。

もちろん、ピント合わせが紙筒の抜き差し(しかも脱落防止のためきつめに設定してある)ですのでコツがいる上に、少し油断するとアイピースが左右に回転して「像の倒れ」が発生するなど人に使ってもらうには不便な操作性になってます。ただ、どうせ皆既の4分20秒の間自分だけで使う想定なので、この辺はあまり問題にならないかとも。何より、構造がシンプルで軽量(目幅調整装置・アイピース等含めた重量1.2kg)ですので海外に持っていくにはこの点が非常に重要とも考えます。

日食にはPSTも持って行き、皆既前・終了後はPSTでHa観望、皆既中はスピカ双眼で、と考えておりますのでこの3本の4㎝を一括して架台に載せる「三連装」も考えられますね。
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いすれにせよ、初めての皆既日食の現場でバタつかないよう軽量で極力シンプルなシステムを構築したいところです。

繰り返しになりますが、今回の北米皆既日食、
「とにかくコロナの観察をできるだけ長く眼視でおこなう」
ことをメイン・テーマとして臨みます。
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より注意深い観察のため、できればコロナや彩層等のスケッチなどできればいいのですが、そこまでの余裕が持てるかどうか・・・

皆既日食、眼視観望のベテランの方がいらっしゃいましたら、皆既中のコロナの様相を心に焼き付ける方法等諸々ご教授等頂ければ幸いです!


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ちなみにスピカ双眼については双望会2015で高野勝人さんがすでに製作・発表されています。当時「先やられた!」と悔しがることしきりだったのですが(笑)、遅れること8年半、やっと追いつくことができました!