というわけでテキサス4日目、いよいよ皆既日食当日です!  Eclipse Over Texas 2024の一般入場開始は8時からですが、我々はボランティア申請しているため6時より入場が可能なはず。5時前から起床して準備します。

気になる天候は5時30分の時点でこんな感じ。
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やっぱり雲ありますね。でももう行くしかないので、6時過ぎ車に機材一式を積み、まだ暗いうちに会場へ。

入り口では学生ボランティア? の皆さんが数人「Parking Ticket?」ってチェックをされてましたがそんなもの持ってないので、utoさんがいろいろ聞いてくださるに会場外にボランティア用の駐車場があることが判明。そちらに駐車し機材を持ってボランティア用の入り口から入り、チェックを受けます。我々がボランティアであることの証明はスタッフであるローウェル天文台のKyler Kuehn氏から来たメールくらいしかないのですが、その控えをわたくしが持ってこなかったため、utoさんが説明を尽くしたり念のために確保していた一般入場用のチケットを示したりKyler Kuehn氏ご本人も来てくれたり、幸いわたくしの名前もリストに載っていたようで、何とか入場させてもらえることに(ここでもかなりの苦労をおかけしています)。

免責事項の書類にサインし、セキュリティチェックを受け、Kyler Kuehn氏直々の案内でまだ薄暗い会場へ。

途中、ミシシッピアカミミガメを見た橋のところで電動カートのおっちゃんが声をかけてくれそのカートに荷物を積んで観望エリアへ。
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まだ暗いのでiPhoneのカメラのシャッター速度が遅くなってて手ぶれ(笑)
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この看板の北側にある芝生スペースに陣取ったのが7時過ぎ。なんやかんやで到着してから1時間ほどかかってます。
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明らかに曇ってますね・・・とりあえず機材展開します。
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イベントの看板とPST・スピカ双眼3連装で記念撮影(笑)
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この時点で7時30分くらいですが、今回ウェイコでは

12:20 食の始まり、13:38 皆既スタート 13:42 皆既終了 15:00 食の終了

なので時間的にはまだまだ余裕。じっくり準備したり来場の皆さんとの交流が持てるわけです。

一般入場開始の8時以降、会場のサウンドチェックなどもありだんだんに人も入ってきました。

周りの人も増え、その皆さんが入れ代わり立ち代わり声をかけてくださいます。子供連れの方も多いですね。
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この女の子はソーラーフィルターを付けたスピカ双眼で太陽を見て「Cool!!」と言ってくれました。
日本のアニメが大好き、っていう黒人の男の子もいたな。しかしまわりはほとんど白人ばかりで黒人もわれわれのようなアジア系もほとんどいないですね。アジア系の人話しかけて来たな、と思ったら香港出身だったり、とにかく日本人の方には一人もお会いしませんでした。
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このオレンジのTシャツはボランティアの方ですね。この方は目幅を調節するなど、かなり望遠鏡に詳しい様子でした。
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同じくオレンジのボランティアTシャツ、20㎝重箱ドブの説明を受けている方は、utoさんのブログ記事にも出てこられたChrisさん。奥様Danaさんともども非常に気さくな方でいろいろと話をしてくれました。
ChrisさんもPSTを持ち込まれていたので見せてもらいましたが
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自分のPSTより相当良く見え、やはり自分のやつBFの劣化が進んでいるのだなあ、と思いました(日本へ帰ってからフィルター交換の依頼をする根拠にもなりました)。

さて、このようにいろいろな人が次々と声をかけてくれた理由は、PSTに扇子をつけてあって場違いにオリエンタルな雰囲気が醸し出されていた?
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こともあるかも知れませんが、こちらの人間関係の作り方というか、イベント等で隣り合わせになった人とコミュニケーション取って相手が危険な人じゃないか確認したい、自分も危険がないことを表明したい、という配慮なんじゃないか、という部分が大きいようにも思いました。とにかく自分は敵じゃないよ、というのをできるだけ早く表明すると言うか。

日本の場合は隣人が安全に決まっている? のでわざわざコミュニケーション取ってお互い安全を確認する必要ないためか、そういった意識は希薄だと思います。

さてメディアの取材も2件ほど受けましたが、英語がわからない部分もあって、かなり”しどろもどろ”な状態(笑)
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(utoさん撮影)
今考えたらこういう時こそグーグルの翻訳アプリを使ったらよかったのですが、現場では全く思いつかず・・・取材してくださった方、おそらく支離滅裂な回答ですみません(笑)

会場の方も少し回ってみます。食べ物屋さんはたくさんありますね。
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何か買おうかな、とも思ったけど、全ての店の前に人が列を作っていて
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もう面倒くさくなってやめました(笑)。この他、子供向けのアクティビティなんか非常に充実していて、子供連れの方が時間を持たせられるようになってたりとか、この辺はさすがレジャー大国ですね。

さて、望遠鏡のところに戻って午前10時過ぎ、雷鳴が轟き始め「THUNDER STORM」の予報が現実味を帯び始めます。
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Chrisさんの奥さんのDanaさんが我々が雨具を持ってないんじゃないかと心配して2着持ってきてくれましたが、幸いこちらも準備してあったのでお礼を言って丁重に断り、機材にかける雨よけ用のビニール袋をスタンバイするなどします。

かと思うとそれなりに晴れてきたりとか(笑)
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(SVBONY、テキサスに現る!!)

そうこうしているうちに食の始まる12時20分、Chrisさんの「Begins!」とともに太陽が欠け始めましたが・・・
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この時の雲の状況はこんな感じ
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これじゃ皆既になってもコロナ見えないんじゃないか・・・? という不安が先走ります。

ここからしばらくは雲の状態も一進一退が続きましたが、皆既まで残り30分の時点で
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よーし、かなり晴れ間出て来た! 
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雲はかなり早く流れているので、これなら皆既時間の半分くらいは晴れ間に入ってコロナ見られるんじゃないか!?

そうこうしているうちに、あっという間の皆既直前!
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会場の皆さんも完全にスタンバイ状態!
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そして、皆既が始まろうという瞬間、何ですか、これ!?
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太陽のところだけ雲がない、だと?!
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皆既が始まってもこの状態、正直、これは奇跡としか言いようが・・・

しかし、いつまた雲が来るかわからないので、限られた時間を眼視に専念するため時間を取る手動の多段階露出は放棄、レリーズによる自動で数十枚の写真(同じ露出で)をスタートさせるにとどめました。それで得られたものの1枚がこれ
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(200mmF5.6 1/30秒 ISO100)

カメラのレリーズを押したら急いでソーラーフィルターを外したスピカ双眼をのぞき込みます。

コロナ・プロミネンスの輝きとグラディェーションがすごい!

しかし写真で見たような複雑に入り組んだ細かい磁力線みたいな筋は見えません。

これは部分拡大して描くよりやはり360°全周や! と瞬時の判断で全体を描くことにシフト。なんと、4分余りの皆既中に雲が横切ってさえぎられることが一切なくフルタイムにわたってコロナが見られました。その間、スピカ双眼で見たイメージを中心にしながらも部分的に肉眼や3×テレコンビノで観察し、黒画用紙に鉛筆で約3分余りにて描き上げたラフスケッチがこんな感じ。
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実際の眼視では一見してコロナ内輪の一番明るいところだけ見え、よく見ると周辺に薄くたなびいてる感じでしょうか。下の方の赤鉛筆で塗った部分的な輪郭は皆既終了直前に見えた彩層を表しています(プロミネンスは皆既前にPSTで見てあらかじめ描いてありました)。ループになった明るいプロミネンスを見ていると下から彩層が現れ、さらにそこからダイヤモンドリングが・・・今回の皆既日食をご覧になった方は皆さんはこの展開をご存じかとは思いますが、皆既終盤のこれには声も出なかったですね。人間、人知を超えたものに感銘を受けると沈黙してしまうものだ、と。

皆既が終わるにあたっての周りのアメリカ人の皆さんの歓声の中、utoさんと握手を交わし皆既を全うできたことを喜び合いました。今までの3つのチャレンジで一勝二敗とか言ってましたけど、「皆既チャレンジ」の成功で、もう二敗とかすっ飛んで雰囲気的にはすでに全勝の勢い!

直後のXへのポストでも完全に戦果をあげたジュリアス・シーザーの気分になっていますね(笑)

このラフスケッチをDana&Chris夫妻に見せたところとても喜んでくれ、スケッチの写真を撮るなどしてくれていたのもうれしかったですね。

さて少し話は前後し日本へ帰った後になりますが、印象が薄れたり今後Web上に氾濫するであろう日食写真エキスパートの作品を見てイメージが上書きされないうちに白の絵の具と筆で「清書」。
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mituさんのすすめでCloudyNightの4月月間スケッチコンテストにもエントリーし、大変光栄なことに最多得票でCloudyNightのImaging/Sketching Contest Winnersのアーカイブに上のスケッチが掲載されております!
(スケッチの実物はもっと階調豊かに描いてあるのですが、画像にした時点でそれが相当失われており、ここに出したものは少し不本意感はあります。できれば自分が仕上げた現物をじかに見ていただきたく・・・あ、ここにも眼視と写真のギャップが 笑)


実際に見る皆既中の太陽は写真とは全然違う、というのは体験した方が口をそろえておっしゃることですが、今回は「ならそれはどう違うのか」を確認しに行ったとも言えます。今までに見た日食写真のエキスパートの皆様によるコロナの写真は、さまざまな技術を駆使して得られる太陽のデータを緻密な表現として完成しておられ、とても見ごたえのあるものです。しかしこれは、例えば同じように撮影や画像処理の技術を駆使して得られた分子雲の表現やカラフルな星雲の天体写真と一緒で、一面の真実ではあるものの眼視で感じられる部分とは違う天体の側面を部分拡大して可視化したものだと思っていました。そして、果たして皆既中の太陽も写真で見るものとは全く違う側面を見せてくれました。

今回、スケッチという形でそれの再現にトライしたのですが、リアルタイムで描きこめる内容は限られており「清書」という手順で記憶にあるイメージを元に事後のフォローをする必要がありました。これはあくまで主観的なもので客観性や正確さという意味で写真には全く及ばないと思いますが、まだ皆既中の太陽を見たことがない人に少しでも雰囲気が伝わればうれしく思います。




ところで、皆既中の太陽をスケッチするために製作したスピカ双眼ですが、今回本当にいい仕事をしましたね。やはり両目で見るということと架台に固定されているので揺れのないイメージが得られるため、視野内の豊富な情報量の視認性が高く、限られた時間でその印象を記憶に刻み付けるのには有利だったと思います。

***

さて、テキサス・ウェイコの会場の方に戻ります。

皆既が終わると一挙に来場者が帰り始めますが、我々や周辺の方々は余韻を楽しむように残っています。
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自分も何となくこういう欠けた太陽が戻っていくのをアリバイ的に写真に撮りながら、です。
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この時間帯もutoさんの20㎝重箱ドブの太陽投影板は大人気でした!

食が終わる15時からしばらくたってから機材を撤収して帰路につきました。この時、ステージでは入場の時にお世話になったKyler Kuehn氏がちょうど講演をしていて挨拶できなかったのが残念。

帰ってるともう無茶苦茶曇ってきました。
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本当に皆既の時の太陽のある部分だけ晴れて、もうどれだけ運がよかったのか・・・

で、この後はマクドナルド行って夕食。この日本でなじみ深いチェーンにおいてさえ現場でのシステムの不備やちょっとした行き違いでスムースに注文品を手にすることができず、いつものutoさんによる問題解決で何とか食いっぱぐれず(笑)。

そしてホテルに帰った夕方にはものすごく雨が降って来て

雷まで鳴り始めた・・・予報通りの「THUNDER STORM」や!
そして自分はこの後恒例の居眠り(笑)に入るのですが、起きてパソコンで作業をしておられたutoさんによれば、暴風雨の警戒アラートが何度もホテルの部屋に鳴り響いたのだそう(そう言われると寝ぼけながらアラートを聞いたような気もするが、起きてないのだからアラートの意味がなく)。

さて、明日はもう帰りの飛行機に乗る予定なのですが、引き続き暴風雨の予報、果たして飛ぶんですかね? 我々は無事にダラスを出発し「家に帰るまでが皆既日食」を全うできるのか!?