アストロ光学R61D型 60㎜屈折赤道儀です。
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6㎝の口径に対してのF20、焦点距離は堂々の1200㎜となり、一見して長い鏡筒が目立ちますね。
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この望遠鏡が売られていたのは確認できている期間で1970~1979頃、1970年には38,000円、1979年には68,000円という値付けになってます。時代的に物価上昇の推移も感じられますが6㎝の望遠鏡としては高級機という位置づけだったのでしょうか。

それまで五藤光学のテレパック60AL6㎝F15を使っていてその素晴らしい性能にも大盛り上がりしていたのですが、昨年ある方にこのR61Dを譲ってもらい、まさに
「上には上」
の光学性能の高さに驚かされたものです。

さらにテレパックは随所にコストダウンの努力が見受けられるパッケージング(これはこれで素晴らしい成り立ちですが)だったのに対し、R61Dは様々な部分にコストがかけられており高級機の片鱗が感じられます。

たとえばフォーカサーが、非常にストロークの長い抜き差しの粗動とラック&ピニオンの微動との2段式になっており
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その挙動もスムースで剛性感もあり工作精度の高さがうかがえます。

さらに先日赤道儀をこたろうさんに分解・オーバーホールしてもらったのですが、
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ウォームホイールがおそらく青銅?にメッキ
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弾くとこのように澄んだ音を発したようです。

青銅だと真鍮より硬いから工作にコストがかかりそう? って素人考えで思ったりもしました。
(いずれにせよ、赤経軸の回転に引っ掛かりがあった赤道儀が非常に快調になりました。こたろうさん、ありがとうございます!)

そして望遠鏡の佇まいも意匠的に美しいものですね。
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マニアの方々が実用に供している望遠鏡ですと一般の方から見るとバズーカ砲とか別用途なものに見えがち(笑)ですが、これなら誰が見ても一目で望遠鏡とわかります(・・・が家の中に置くとそれなりに場所をとるので住宅事情によっては厳しい側面もあるかも)。

さて、この半世紀前の望遠鏡の実用性ですが、実質的に

月・惑星スペシャル

と言えます。特にハイゲンス系のアイピースを使用したときの解像度とコントラストはすさまじく、自宅にて日常的に月や惑星を観望するのには(6㎝クラスとしては)他の追随を許さない光学性能と言い切ってよいと思います。

以前は「月面ならともかく6㎝ぐらいの小口径で惑星見て何が面白いんや」と思ってたのですが、倍率かけても像が破綻しないし、コントラストと彩度が高いから土星見ても木星見ても面白いんですね。

もちろん6㎝の集光力に過ぎないのでDSOの観望はかなり苦しいですし、鏡筒が長いので200倍くらいになると架台の振動を押さえつつ使うのに技術が必要ですが、様々な欠点を割り引いても十分に現代に存在価値を問える望遠鏡だと思います。


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さて、このR61D型に限らず、長焦点アクロマートに共通した特徴は

ハイゲンスやミッテンゼーハイゲンスとの組み合わせで光学性能が最大化される

ということです。一般的な品質で比べるとOrなど複雑な構成のアイピースを使うより2群2枚のシンプルなハイゲンス系の方が良さそうなのですね。これはアクロマートの対物自体がハイゲンスとの組み合わせで相補的に収差が軽減される(特に色収差)ように設計されている? という素性がありそうです。
(ただCZJの6-Oだけはハイゲンスに勝るとも劣らない鋭像でした。この辺、タカハシのTPLなんかでの見え方も気になってはいます)

面白いことに、適当な造りのハイゲンス(例えばレンズ2枚とも両凸とか)でも独特のクリアな雰囲気は醸し出されるんですよね。ただやっぱり個々のハイゲンスの品質の違いで性能差はあって、自分の経験で誤解を恐れずに言うと

最高クラス
CZJや五藤の望遠鏡用ハイゲンス、Nikonの顕微鏡用ハイゲンス

じゅうぶん楽しめるクラス
ビクセン、オルビィス、スコープテックの望遠鏡用ハイゲンス、Aliの顕微鏡用ハイゲンス

もう少し見えたいなクラス
ミザール(まあこれは自分の手持ちが古くてコンディション悪いものが多いので・・・)


あと特筆すべきはダウエルブランドのハイゲンス(谷光学の製造?)にも最高クラスのものがあったこと。この辺のハイゲンス探索もやりがいのあるジャンルかも知れません。

いずれにせよ、長焦点アクロマートとハイゲンスの組み合わせにてトップクラスの見え方が得られることを多くの方に知っていただきたいものです。現行で買えるものはスコープテックのMAXIやカサイのJスコープなどの8㎝F15もありますが少し値が張るので、スコープテックの遊星號(5㎝F16)あたりが「長焦点アクロマート+ハイゲンス」をローコストに味わえる選択としてはよいかもです!