2㎝F25ハーシェル・ニュートンを製作いたしました!
![IMG_E2578](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/1/7/177cdfb0-s.jpg)
ハーシェル・ニュートンとはニュートンとハーシェルの折衷式とでも言いますか、球面の主鏡と平面の斜鏡(プリズムの場合もあり)で下図のような光路を持つものです。
![92f0c360-s](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/4/e/4e08583e-s.jpg)
本来のハーシェル式には斜鏡はありませんが、ハーシェル・ニュートンは、軸外しの主鏡の軸外しアングルを最小にしつつ観察者の頭部による口径食を防ぐ目的で斜鏡が使われています。
もちろん、軸外しによってコマ収差や球面収差が発生しますが、比較的小口径と大きなF値を採用することで諸収差をレイリーリミット内に収めたシャープな見え味が特徴です。ハーシェル・ニュートンの発案者は諸説ありますが、1929年の中村要の著作にはすでにそれが掲載されており、すでに100年近い歴史のある望遠鏡形式というわけですね。当時、子供の科学社からは5㎝のものが市販されておりました。
![6c8402a0](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/d/0/d0a2e765.jpg)
愛知のIさんがこれの現物を所蔵しておられるようです。
さて、わたくし自身も5㎝F17ハーシェル・ニュートンを自作しているのですが、今回2㎝という極端な小口径を志した理由が
寒いから暖かい部屋の中で月面を観望したい
という理由です。部屋の暖かさを保つためには窓ガラスを閉めた状態になるのですが、その場合窓ガラスという相当制度の悪い光学エレメント(笑)を光が通過することで結像に与える影響を無視できません。
ただ、常用している太陽望遠鏡、P.S.T.では窓ガラス越し太陽観望が常態化しており
![c4ab6c7f-s](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/3/d/3dcd4179-s.jpg)
4㎝の小口径と散乱の少ない656nm単色光ではさほど影響がない実感もありました。
しかし月面は可視光域フルレンジなのでスピカ双眼等で試した窓ガラス越し月面観望は、4㎝の小口径でも像の悪化が感じられました。
なら思いっきり小口径にして光学系もシャープなハーシェル・ニュートン式にすれば? と思い至ったものです。
主鏡にはシグマ光機の2㎝F25(fl=500㎜)を使用。
シグマ光機には様々なスペックの鏡がありますので(サイトのカタログ内で探すのが少し面倒ですが・・・)これらの鏡を利用すれば、ハーシェル・ニュートン製作の幅は無限大ですね!
さて、各部品は3Dプリンターで作っております。
![1](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/7/e/7eea814c-s.jpg)
これは接眼部ユニット
![IMG_2575](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/2/8/28676d4b-s.jpg)
接眼部にライトトラップを設けてコントラストを高めました。斜鏡には短径20㎜のもの。主鏡径と同じですね(笑)。
フォーカサーはBORGの回転ヘリコイド。
![IMG_2572](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/d/0/d0f0ce8b-s.jpg)
アイピースはいろいろ試しましたが、結論から言うとLavenduraかスタインハイル(具体的にはNikonのルーペ)に限りますね。
![IMG_2551](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/c/d/cda0fd01-s.jpg)
結局、普通のプローセルとかではハーシェル・ニュートン特有の解像度や、ガツン! とくるコントラストが発揮できないのです。アイピースは完全にこの二択。ただし、中心像は互角ですがLavenduraの方が少し良像範囲や見かけ視界が広いでしょうか。
鏡筒バンドは上下から挟み込む方式。
![IMG_2574](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/7/a/7a06cd89-s.jpg)
ファインダー脚のアリ溝をつけていますので市販のファインダーが使えます。
![IMG_2579](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/7/0/705f60d5-s.jpg)
しかしよく考えてみたら、主望遠鏡の口径が2㎝なのにファンダー口径が3㎝という変な逆転現象が。まあしかし本末転倒を旨とする当ブログなのでこの辺は望むところ(笑)
半月時の月面を窓ガラス越しに見てみます。
![IMG_2558](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/8/a/8a6290eb-s.jpg)
スタインハイル・ルーペ(30㎜)17倍では、予想通り、窓ガラスの影響をほとんど感じさせないシャープな月面が!
![IMG_E2565](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/d/c/dca04945-s.jpg)
iPhone8によるコリメートなので眼視のイメージより数段落ちますが、細かいクレーターや海の部分の汚れたような階調が良く見えます。しかし5㎝ハーシェル・ニュートンではこれぐらいの月齢から確認できる月面キラキラは見えず。何となく雰囲気を感じる? 程度に終わっています。
***
さて、その3日後の本日は月齢10、もっとも月面キラキラが見えやすいフェーズです。窓ガラス越しにスタインハイル30㎜、17倍で・・・
![IMG_2618](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/3/8/38ba4ba0-s.jpg)
うーん、やっぱり見え・・・なくもない? って感じかな?
![IMG_E2614](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/c/c/cc953d62-s.jpg)
いつものようにiPhone8のコリメート画像ではわかりませんが(笑)月面クレーターリムの高輝度スポット、月面キラキラが4つくらい見えるような気がします。しかし、5㎝ハーシェル・ニュートンや6㎝アクロマートで見た時の針の先で突いたような輝きはないですね。この辺は2㎝の集光力だから仕方ないか・・・まあしかし、小さいけれどクレーターの像のキレは鋭く、海の部分の階調も豊か。解像度の高い端正な見え味はまさにハーシェル・ニュートンのもので、充分に月面の観賞価値はあります。
ついでに木星も見てみましたが、PL9mmで58倍まで倍率を上げますと何とか縞模様2本見える感じでしたかねー
いずれにせよ、冬場に外で寒い思いをすることなく月面を観望できるのは大きいです。
これからのトレンドは
窓ガラス越し室内ぬくぬく月面観望
で間ァ違ィいない!?(違)
・・・夏場は「窓ガラス越し室内涼々月面観望」にスイッチする予定(笑)
![IMG_E2578](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/1/7/177cdfb0-s.jpg)
ハーシェル・ニュートンとはニュートンとハーシェルの折衷式とでも言いますか、球面の主鏡と平面の斜鏡(プリズムの場合もあり)で下図のような光路を持つものです。
![92f0c360-s](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/4/e/4e08583e-s.jpg)
本来のハーシェル式には斜鏡はありませんが、ハーシェル・ニュートンは、軸外しの主鏡の軸外しアングルを最小にしつつ観察者の頭部による口径食を防ぐ目的で斜鏡が使われています。
もちろん、軸外しによってコマ収差や球面収差が発生しますが、比較的小口径と大きなF値を採用することで諸収差をレイリーリミット内に収めたシャープな見え味が特徴です。ハーシェル・ニュートンの発案者は諸説ありますが、1929年の中村要の著作にはすでにそれが掲載されており、すでに100年近い歴史のある望遠鏡形式というわけですね。当時、子供の科学社からは5㎝のものが市販されておりました。
![6c8402a0](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/d/0/d0a2e765.jpg)
愛知のIさんがこれの現物を所蔵しておられるようです。
さて、わたくし自身も5㎝F17ハーシェル・ニュートンを自作しているのですが、今回2㎝という極端な小口径を志した理由が
寒いから暖かい部屋の中で月面を観望したい
という理由です。部屋の暖かさを保つためには窓ガラスを閉めた状態になるのですが、その場合窓ガラスという相当制度の悪い光学エレメント(笑)を光が通過することで結像に与える影響を無視できません。
ただ、常用している太陽望遠鏡、P.S.T.では窓ガラス越し太陽観望が常態化しており
![c4ab6c7f-s](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/3/d/3dcd4179-s.jpg)
4㎝の小口径と散乱の少ない656nm単色光ではさほど影響がない実感もありました。
しかし月面は可視光域フルレンジなのでスピカ双眼等で試した窓ガラス越し月面観望は、4㎝の小口径でも像の悪化が感じられました。
なら思いっきり小口径にして光学系もシャープなハーシェル・ニュートン式にすれば? と思い至ったものです。
主鏡にはシグマ光機の2㎝F25(fl=500㎜)を使用。
シグマ光機には様々なスペックの鏡がありますので(サイトのカタログ内で探すのが少し面倒ですが・・・)これらの鏡を利用すれば、ハーシェル・ニュートン製作の幅は無限大ですね!
さて、各部品は3Dプリンターで作っております。
![1](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/7/e/7eea814c-s.jpg)
これは接眼部ユニット
![IMG_2575](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/2/8/28676d4b-s.jpg)
接眼部にライトトラップを設けてコントラストを高めました。斜鏡には短径20㎜のもの。主鏡径と同じですね(笑)。
フォーカサーはBORGの回転ヘリコイド。
![IMG_2572](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/d/0/d0f0ce8b-s.jpg)
アイピースはいろいろ試しましたが、結論から言うとLavenduraかスタインハイル(具体的にはNikonのルーペ)に限りますね。
![IMG_2551](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/c/d/cda0fd01-s.jpg)
結局、普通のプローセルとかではハーシェル・ニュートン特有の解像度や、ガツン! とくるコントラストが発揮できないのです。アイピースは完全にこの二択。ただし、中心像は互角ですがLavenduraの方が少し良像範囲や見かけ視界が広いでしょうか。
鏡筒バンドは上下から挟み込む方式。
![IMG_2574](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/7/a/7a06cd89-s.jpg)
ファインダー脚のアリ溝をつけていますので市販のファインダーが使えます。
![IMG_2579](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/7/0/705f60d5-s.jpg)
しかしよく考えてみたら、主望遠鏡の口径が2㎝なのにファンダー口径が3㎝という変な逆転現象が。まあしかし本末転倒を旨とする当ブログなのでこの辺は望むところ(笑)
半月時の月面を窓ガラス越しに見てみます。
![IMG_2558](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/8/a/8a6290eb-s.jpg)
スタインハイル・ルーペ(30㎜)17倍では、予想通り、窓ガラスの影響をほとんど感じさせないシャープな月面が!
![IMG_E2565](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/d/c/dca04945-s.jpg)
iPhone8によるコリメートなので眼視のイメージより数段落ちますが、細かいクレーターや海の部分の汚れたような階調が良く見えます。しかし5㎝ハーシェル・ニュートンではこれぐらいの月齢から確認できる月面キラキラは見えず。何となく雰囲気を感じる? 程度に終わっています。
***
さて、その3日後の本日は月齢10、もっとも月面キラキラが見えやすいフェーズです。窓ガラス越しにスタインハイル30㎜、17倍で・・・
![IMG_2618](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/3/8/38ba4ba0-s.jpg)
うーん、やっぱり見え・・・なくもない? って感じかな?
![IMG_E2614](https://livedoor.blogimg.jp/uwakinabokura/imgs/c/c/cc953d62-s.jpg)
いつものようにiPhone8のコリメート画像ではわかりませんが(笑)月面クレーターリムの高輝度スポット、月面キラキラが4つくらい見えるような気がします。しかし、5㎝ハーシェル・ニュートンや6㎝アクロマートで見た時の針の先で突いたような輝きはないですね。この辺は2㎝の集光力だから仕方ないか・・・まあしかし、小さいけれどクレーターの像のキレは鋭く、海の部分の階調も豊か。解像度の高い端正な見え味はまさにハーシェル・ニュートンのもので、充分に月面の観賞価値はあります。
ついでに木星も見てみましたが、PL9mmで58倍まで倍率を上げますと何とか縞模様2本見える感じでしたかねー
いずれにせよ、冬場に外で寒い思いをすることなく月面を観望できるのは大きいです。
これからのトレンドは
窓ガラス越し室内ぬくぬく月面観望
で間ァ違ィいない!?(違)
・・・夏場は「窓ガラス越し室内涼々月面観望」にスイッチする予定(笑)
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