SeestarS30はもともと経緯台2軸追尾モードでしたが、アプリがアップデートされ、水平軸を傾けて天の北極に向け1軸追尾とする「赤道儀モード」の機能が追加されたようです。

1時間以内の電視観望ですと経緯台2軸による視野回転はそれほど問題にならないのですが、当方のS30運用においては露出時間を累積していくため多数のスタックをやる必要上、天体の方向は揃っていた方がいいわけです。
(↓視野回転した画像をスタックしたことにより画面左上がブラックアウト)
IMG_3307(
加えて経緯台2軸追尾の泣き所と言いますか、対象天体が南中して子午線を通過する前後で追尾が不安定となります。おそらくその影響で、Seestarではスタックされないフレームが増え経過時間の割には露出時間が稼げない、という現象が現れていました。

というわけで赤道儀モードはこの2点を解消してくれる「はず」の素晴らしい機能と言え、乗っからない手はないということで・・・

まずは赤道儀ウェッジをモデリング。
赤道儀ウエッジ画像
仰角は当方在住地の北緯33°に合わせた固定としました(このコンセプトがNikonの8㎝用赤道儀みたいでカッコいいのです)。これを3Dプリンターで印刷していきます

所用時間、約7時間で印刷完了。S30と言い、3Dプリンターと言い、わたくしが他の事をしてる間にようやってくれる素晴らしい相棒と言えます(笑)。
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当方所有の3Dプリンターのプラットホームギリギリの大きさで、たぶん今まで造形した中では一番大きい物ですね。
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S30を搭載するとこのような体裁になります(3D画像:平行法)

当家のベランダからは北極星は見えないのですが、Seestarの赤道儀モードでは星の追尾とそのズレの状況から極軸の仰角・方位の修正方向をアプリが示してくれます。しかし自分のモデリングした赤道儀ウェッジには仰角・方位のアジャスト機能は持たせてないので、三脚の伸縮で仰角、一式丸ごとを回転させることで方位を調整するという方法で極軸を合わせます。
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まあガチの天体写真じゃないのであんまり追い込む気もなく(笑)、0.6°くらいのずれならOKやろ、ということでセッティング終了。

現在の三脚石突位置をベランダにテープでマークして、次回からはこのマークにS30一式を三脚ごと「ポン置き」することで運用する計画(この記事の時点ではまだそれでうまくいくか検証できててません)。
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さて、これでどうかな。まずはサーフボード銀河とふくろう。
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左AIデノイズなし、右があり。約50分スタックでは全く視野回転は感じられませんね。さらにこの時間帯は両天体の南中前後なのですが追尾不良によるロスタイムもなさそうでした。輝線スペクトルのふくろうの描写の為にデユアルナローバンドフィルターをONにしてあったので連続スペクトルのサーフボード銀河の描写が弱くなってはいますが、まずは手ごたえ十分。

ここで10天体ほどをPLAN機能で指定し、後はS30に徹夜で頑張ってもらうとして自分は寝ました(笑)。

ただし、この晩は晴れても基本薄曇りで
IMG_E3467
さらに夜半以降の晴れ間は限られていたらしく、画像データが取得できてたのは下の3天体のみ。

NCC4565                          M83
Stacked_97_NGC 4565_30.0s_IRCUT_20250409-003001Stacked_96_M 83_30.0s_IRCUT_20250409-013000
いずれも露出時間合計48分ほど。さらにM17
Stacked_32_M 17_30.0s_LP_20250409-044001
M17は一番晴れた時間が短かったらしく、合計17分ほどのスタックの結果です。

晴れ間の少ない天候のため撮影の歩留まりは悪かったですが、赤道儀モード、機能的な問題はなさそうですね。後はベランダのマーク位置への「ポン置き」で今後も安定して運用できるかどうか。まあ少々極軸がずれてたとしてもわずかな赤緯修正で追尾してくれれば視野回転も子午線通過も実質上問題ないものと想定しております。

そしてさらなる長時間露出の道へ・・・(笑)

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おまけ

赤道儀モードでの運用ではありませんが少し前にM20とM8を経緯台モードで取った時の画像を載せておきます。
CEHF1060IMG_3480
いずれも左AIデノイズなし、右はあり
OWFA5199OWFAE5199
この2つの対象で言うと左のAIデノイズなし版はちょっと緑っぽくなっていてカラーバランスに少し難ありでしょうか。右のAIデノイズ版のほうがニュートラルな色彩な気が。デノイズなし版も本体(アプリ?)による画像処理は行われていると思うので、バックグラウンドをニュートラルグレーにするくらい簡単にできるだろうからその機能を持たせてもらいたい感じはありますね。

さて、銀河みたいな視直径の小さな対象だとS30のfl=150㎜はどうしても拡大率不足を感じてしまってたのですが、これから夏に向けて大きく広がったHⅡ領域の撮影こそS30の真骨頂と言えるでしょうか。少し時間かかりそうだけどFraming機能(モザイク撮影)を使えば北アメリカ全景とかも行けそう。

まだまだS30運用の可能性を追求して参りますよ!