第二星空サイトで、けーたろさん、Samさんと話をしている時に聞かれたのです
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「月面キラキラ」ってどういうものなんですか?
と。

わたくしのブログには時々「月面キラキラ」という単語が出て来るのは、ご訪問くださる方ならばご存じだと思いますが、「月面キラキラ」という言葉自体はシベットの造語で、

月面クレーター・リムの高輝度スポット

の事を表現しようとしています。この「キラキラ」は月面クレーターの「角の部分」が日光での照らされ方によって輝いている? とか想像しているのですが、わたくし自身これを初めて意識したのが3年前2023年の小海星フェスにてCZJ50/540+25-H、22倍で月齢18ごろの月を見せていただいた時です。それまで数十年月面を望遠鏡で見てはいたのですが、このように見えたことは初めてで本当に驚きました。

その後、どういう条件で見えるのか手持ちの光学系で検証を繰り返した結果、それなりに限定的な条件でないと見えないことがわかったので、けーたろさんとSamさんに会場でお伝えした内容をここに文章化しておきます。

*口径5~6cmが好適。4㎝以下では厳しく、10㎝を超えると高輝度スポットのバックグラウンドが明るくなって? 見えなくなる

*倍率20~50倍程度。倍率が高いと高輝度スポットの面積が拡大されて? 見にくくなる

*解像度と抜けの両立した高精度光学系でないと見えない

*空が薄曇りだと見えない

*シーイングは中程度以上なら見える。悪シーイング条件なら不可

*月齢8~12、18~22ごろが一番数多く見える。半月状態でも見えるが数は少なくなる

*月齢13~17の満月前後では高輝度スポットと言うより「クレーターリムの高輝度リング」という感じになる

*三日月くらいでは微小クレーターが月面小黒点(これもシベットの造語)として見える

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(これぐらいの月齢がキラキラ観望にはよいのですが、画像には写ってません 笑)

さて、キラキラの検出にはどのような光学系を使うかの要素が一番大きく、当方所有の機材で一番よく見えるのが

①5㎝F17ハーシェル・ニュートン+Nikonスタインハイルルーペ(30㎜相当)28倍

②アストロ6㎝F20 アクロマート+CZJ25-H 48倍

③五藤テレパック6㎝F15アクロマート+CZJ25-H 36倍

④(番外)ミザール8㎝F5アクロマート+2倍バーロー+Lavendura30㎜+QuadBPフィルター27倍


の順です。①ではスタインハイルの代わりにLavendura30㎜でも遜色ない見え方、ただし普通の銀プローセル25㎜あたりでは「・・・見えなくもないかな?」ぐらいに一気にトーンダウンします。②③ではアイピースにハイゲンスを使いさえすればCZJのもの以外、例えばオルビィスのH-25mmのようなローコストなものでも充分見えました。そしてケルナーやプローセル等を使うとやはり「見えなくもない?」という感じ。

しかしその他自分が所有する望遠鏡、30㎝F5ニュートンでも高精度15㎝F8ニュートンでも、惑星スペシャルな15㎝F15アクロマートでも月面キラキラはよく見えないのです。

このように見える条件(特に光学系)がかなり限定的なので天文キャリアの長い方々でも意外と見たことなく、そこに「月面キラキラ」をいくら力説したところで全く伝わってない現状かと思います。

と言うわけで多くの方にキラキラ体験を共有してもらいたく、

月面キラキラ観望標準機

を設定することを考えました。一番いいのはハーシェル・ニュートンですが、この光学系は全く標準的ではないのでアクロマート+ハイゲンスの入手しやすくローコストな構築で考えます。

まず少しでもコンパクト化するため口径は5㎝と設定。接眼鏡の選択肢はハイゲンスしかないのですが、標準的なハイゲンスは対物レンズが「F12以上」であることが使用条件(ただしCZJのハイゲンスはF10以上なら可能)なので、例えば5㎝F10.5のD50は外れてしまいますね。5㎝F16の遊星號やD50Lならいいですが少し鏡筒が長い。
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(D50L試作品 よっぽど買いそうになりました)
ですので、5㎝F12くらいが最適? と考えました。

前置きが長くなりましたがやっと話は小海星フェスの会場に戻ります(笑)。まずはメイン会場に移動してフリーマーケット会場を物色(星フェスでは出店料3000円を払うことで機材を売ることができます)。5㎝F12の大本命、スコープテックのラプトル50あたりを探します。
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上の画像とは別のお店でラプトル50を発見したものの、すでに売約済みとの事で買えず。フリーマーケット開始からだいぶ時間がたっていたので完全に出遅れた模様(笑)

仕方なくエーデルワイス内に入りメーカーさんや販売店のブースを回っていると、お、これいいんじゃない? というのが

ビクセンのダイナスコープ50。D=50㎜、FL=630㎜のF12.6だそうだからスペック的にも完璧!
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2,500円の値がついてましたが「そろそろ終了だから」ということで2,000円にディスカウントしてくれ、まさに「渡りに船」とばかりにゲット!
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品もビクセンだから間違いないだろう、ということで意気揚々と引き上げる途中、すぷーんさんに会ったので「これで月面キラキラスペシャルを作るんだ」と箱から出して自慢してたら、えっ?・・・
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なんですか? これ? この対物レンズ直後にある絞りのようなものは?
まさかの単レンズ?・・・だと!?

家へ帰ってから分解してみると、やはり(笑)
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53㎜程度の平凸レンズを直径25㎜程度の絞りで絞ってあります。一応付属のK20mm31.5倍で地上風景も見てみますが・・・
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色収差が 見えても いいじゃ ないか 単レンズ だもの

的に文学的な見え味(笑)。しかし、これではたぶん月面キラキラは無理な気が・・・

まー説明書のどこにもアクロマートレンズとは書いてないし、確認しなかった自分が悪いのです・・・いや「有効径(D)50㎜」と謳ってるからこれは嘘になってるよな。嘘はいかんよ。
しかし、令和の世になってこのようなダウエル的変化球に手を出し凡打に倒れるハメになるとは「よもやのよもや」でしたが、ネタとして2,000円分の価値は十分あると思われますので既に元を取っていると解釈しております(泣笑)。

さてさて、すぷーんさんの前でダイナスコープに恥をかかされ、失意のまま(笑)エーデルワイス内を徘徊してると、けーたろさんがD50Lの対物レンズ5㎝F16をゲットされたとの事で現物を見せてもらいました。こちらは本当に間違いのない品、今後「けーたろ式月面キラキラスペシャル」の製作には期待感しかないですね!


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そしてダイナスコープの衝撃から月日が流れること約12日後の今日、なぜかこのようなものが届きました(笑)。
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もはや、最終手段のラプトル50・・・もう一本入手して「ラプトル50双眼月面キラキラ倍掛けスペシャルターボGTロイヤルサルーン」を作る芽も出てきましたが、まずは単筒でキラキラが見えるか試してからですよね。さて、月面キラキラ標準機の明日はどっちだ!?