シュミット・ニュートン140SS改、140mmF3.1で電視観望をおこなう場合、淡い星雲をあぶり出すために強烈な画像処理をする必要があるのですが、眼視なら全く問題にならないレベルの周辺減光も同時にあぶり出されてしまいます。(↓こんなになる)
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これを筒先絞りの設定によって視野中央に対する周辺光量を100%に近づけ、周辺減光を実用上解消できるかどうかを試してみます。

まず、このシュミット・ニュートンは補正板径が140mmのところ、主鏡径が144mmしかないので、単純に言って光量100%のイメージサークルが∮4mmしか取れない計算になります。そこで筒先に∮120mmの絞りを設ければイメージサークルが∮24mmくらいになって、ASI294MCのセンサーサイズ、19.1x13.0mmをフルにカバーできるのではないか、という考えです。

黒画用紙を切って、絞りを3種類作りました。
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上のが∮130mm、下左が∮120mm、下左が∮110mmです。

このように筒先に置きます。
IMG_5791
早速、実験開始! 今回はすべての画像にZWO Duo-Bandフィルター入れっぱなしです。

まずは絞りなしでプレアデス付近のピンボケ画像。
n
自分はよくケラレの状況を見るためにこういうピンボケ画像を使っています。

注目するのは視野の4スミですが、例えば右下を拡大してみますと・・・
n2
このようにかなり口径食が起こっているのがわかります。

さて、まずは∮130mmの絞りを置いてと・・・・
132
あんまり変わらんか・・・・では120mmでは?
122
うーむ、視野の内側方向にけられてるから斜鏡によるケラレかな・・・だと筒先いじっても仕方ないのですが、一応11cmでは?
112
やっぱりですね。これだと、相当筒先絞らないと、視野中心に対しての周辺100%光量が実現できないですね。あんまり絞って小口径になりすぎると意味ないし・・・

ピントを合わせて、一応、「本命」と想定していた120mm絞りでプレアデスを処理してみます。
m45
当然、こうなりますよね(笑)。
どうせ、周辺減光と戦わないといけないんだったらフル口径で明るい方がいいわけであって・・・筒先絞りはボツかな。

ということで、絞りを外し、通常モードの電視観望開始。
何とかバックグラウンド調整で周辺減光を目立たなくしてみます。rosetta

周辺減光が起こらない中央よりの部分のバックグラウンドを真っ黒にすると、周辺減光の境目がわからなくなります。天体が中央付近のみにあれば破綻しないので、ばら星雲は比較的やりやすい対象ですね。


続いて、馬頭星雲
horsehead
一番上にある、以前の馬頭星雲と比べてかなりうまく周辺を処理できました。
ちなみに、画面上の斜めに黒くなっている部分は、経緯台の2軸追尾での視野回転をライブスタックで合成したことによるブラックアウトです。

ところで、この構図のコンセプトは
「画面中央やや左上のσ星が暗黒星雲から誕生したことで、あたりのガスを蒸発させ、残ったガスには強烈な紫外線を当てて赤く光らせており、IC434という球状に拡がったHⅡ領域を作りました。で、馬頭星雲の部分は密度が濃くて蒸発しきらずに残った暗黒星雲なんですが、IC434をバックグラウンドにその姿を見ることができます」
なんですが・・・一つの画面でこういうストーリーを展開していくのとかどうですかね。

あと、M42。これもバックグラウンドを黒くすれば、周辺減光はわからなくなります。
m42
さらにこの画像では少し緑の色を持ち上げてて、
「M42って赤いHα線ばっかりじゃないよ、OⅢみたいな青緑の色も結構出してるんだよ」
という主張を展開してみました。

結局、電視観望の処理ってRAW画像に含まれる莫大な情報の中で、自分が見てもらいたいデータだけを「部分拡大」して他のデータはなかったことにする、って話ですね。天体写真もたぶんそうだと思います。

さて、どうせ画像処理で何とかするんだったら、やみくもに最周辺100%光量を求めるような周辺減光対策より、フラットを撮影してライブスタック画像からリアルタイムに減算する、というのが、より現実的でしょうか。たぶん、SharpCapの機能にはそれがあると思います。まだ発見できてないだけで(笑)。

もうちょっと、SharpCapの使いこなし、頑張ります!