今日も「CanonFDレンズ 200mmF2.8+ASI294MC+AZ-GTi経緯台+SharpCap」による電視観望での検証を続けます。
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今日は月齢24で月はなく、透明度は昨日よりやや劣っていて、3等星が見えるような見えないような条件です。

この2つのフィルターを重ねると、準デュアル・ナローバンド的な特性になるのでは?

ということで、2つのフィルターの周波数特性グラフを無理に重ねてみました。
合成のコピー
どうでしょう、これ、ひょっとして、実質デュアル・ナローバンドとして働くフィルターをもの凄く安く入手できる方法を思いついてしまったのではないでしょうか?

さっそく2枚のフィルターを重ねて取り付けます。

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で、ワクワクしながらCLS&UV/IRのダブルスタックを検証です!

・・・・・!?
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全然ダメでした(笑) CLSのみの場合より少し星像が小さくなったくらいでしょうか。
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色付き周辺減光の状況とか、ほとんど変わりません。いやー世の中そこまで甘くなかったですね(笑)。

さて、それならばと、気を取りなおして、赤色のフィルターを出してきました。
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ちなみにこのフィルターは1599円で7枚入の激安フィルターセット
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に入っていたやつで、おそらくR60相当ぐらいのシャープカットフィルターではないかと思われます。
これでCMOSカメラの赤外域感度を生かしたHα~近赤外電視観望をおこなおうというプランです。

ダブルスタックが失敗したとしても2の矢、3の矢が控えているのだよ・・・と誰に聞かせるでもなくつぶやきつつ、実行・・・・・?!
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なんだこれ、もっとひどくなってしまいました・・・ピンボケにもほどがある!
これもダメだ、おそらく600~800nmくらいの範囲の色収差と言うか、焦点位置のずれがだいぶあるんですね。まあ、赤外域利用とか想定してレンズ設計してないだろうから、完全に目的外使用なんですけどね。

しかたがない。こうなったらデュアル・ナローバンドだ。
黒画用紙で余白を覆ったZWO DUO-BANDフィルターをレンズの筒先に付けて検証をおこないます。
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このチープな感じこそ当ブログの真骨頂、さらに、これだとせっかくのF2.8がF4くらいに絞られてしまいますが、この光学系専用品になろうかという31.7mmのデュアル・ナローバンドを取得する前には絶対に行っておかないといけない実験です。
ちなみに、この実験結果でデュアル・ナローバンド使用がボツになると、もうこの200mmF2.8はHα単色光でしか使えないことになってしまいます。

どうかうまくいきますように・・・?!
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あー、よかった。ちゃんとピントが合うし、バックグラウンドもそれなりにフラットです。

ピント合わせの時の星の色の変化をパソコンのモニターで拡大して厳密に見ていくと、Hαは前ピン、OⅢは後ピンで、両者ともごくわずかにピンボケになっている中間地点で折り合いがついている感じです。ただ、電視観望でライブスタックすると、シンチレーションで動いた星像を合成するので、それによる星像の肥大のほうがピンボケのレベルより大きく、結果、この程度の微妙なピンボケは実用上の許容範囲に収まっているという判定になっています・・・というか強引にそうしました(笑)

さて、カリフォルニア星雲で露出とスタック枚数を多めにかけてみました。
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まあ、電視観望でこれぐらいHⅡ領域の構造が見られれば、全然言うことないです。
また、F2.8モードで運用が始められれば、これの半分の時間でこの画質が得られるということですね。
やっぱり、Hα単色光よりデュアル・ナローバンドのほうが短い時間でHⅡ領域を捉えられるようです。

このCanonFDレンズ200mmF2.8 の導入によって電視観望の「時短」はかなり進展を見た、と結論付けてよさそうでしょうか。
しかし、電視観望に考えられるバリエーションはまだまだ未踏の部分が多く、今後いくらでも改善の余地が生まれてきそうではあります。いやー、電視観望って本当にいいもんですね、と故水野春郎さんみたいな口調で今回の記事を終わりたいと思います!