今回はCanonFD 50mmF1.4による電視観望でQBPフィルターを使った場合の赤ハロについてその原因を突き止める、というやや渋いテーマです。

今回は50mmでも追尾のある状態でやりたかったので、AZ-GTi経緯台に載せています。
IMG_6073
2日間での検証になりましたが、その間の月齢は15~16、肉眼での限界等級は両日とも2等星程度でした。

まず、これは、モニター上で最大に拡大し微光星が最小面積になるようピントを合わせた状態の画像。
akaharo justpint
(画面左上の輝星はオリオンの三ツ星の真ん中のε星、アルニラムです)
微光星が2~3ピクセルとかなりシャープなのに対し、B型スペクトルで青いはずであるε星の比較的少ない成分であろう赤色光にピンボケ(前ピン)が生じてハロとなっていると思われます。

ここで、レンズのピント合わせ用ヘリコイドを回して前に繰り出していくと・・・
aoharo maepin
このように、赤ハロは消えますが、今度は微光星の方に青ハロ(後ピン)が発生してしまいました。

このことから、CanonFD 50mmF1.4レンズにQBPのようなデユアル・ナローバンドフィルターを使うと、OⅢかHαのどちらかがもれなくピンボケになる、ということが言えると思います。これはもちろん、ノーフィルター状態でも色収差でピンボケしているわけですが、デユアル・ナローバンド使用で色が「赤」と「青緑」の二択になった場合、どちらかの色がピンボケになると、それがハロとして出るということでしょうか。それですと、赤ハロは単純にレンズの色収差だったという結論になります。

ちなみに、微光星でピントを合わせた場合のフル視野画像↓
justpint zentai
赤ハロを消して微光星がややピンボケになったフル視野画像↓
maepin zentai
結局、どっちもピンボケに見える(笑) このレンズはちょっとデュアル・ナローバンドでは実用できないかな、と思いました。

そうなるともう単色光しかありません。バーダーHα3.5nmという最終兵器を出します。
Ha3.5 justpint
ε星付近もかなりシャープです。

LiveStackでモノクロにして、ばら星雲付近、16秒露出。
bara16s5
まあ、この画質なら何とか使えますかね。しかし、いつもよりHⅡ領域の出方が悪いです。満月だからでしょうかね? 

CanonFD50mmF1.4の用途は「Hα単色光電視観望」と確定しましたことをご報告して終わります!