オールフィルター大進撃~電視観望で汎用性最強のフィルターを探せ(実践編1 HⅡ領域)に続き、今回は、「実践編2」として小宇宙(系外銀河)の検証結果を報告します。
SP140SS改14㎝合成F3.1鏡筒にAZ-GTi経緯台、ASI294MC、SharpCap 6種のフィルターも前回同様です。4秒露出での結果(スタック枚数は数十枚の成り行き)を順に見ていただきますが、視直径が小さいので視野中心の部分拡大になります。対象は、しし座のNGC2903
まずはノーフィルター
いや、これは悪くないですね。HⅡ領域と違って、小宇宙(系外銀河)は光害地のノーフィルターでも充分観賞価値がありそうです。赤外域の成分も効いているのかな? これを標準にするとなると、評価「4.0」程度でしょうか。
①「light pollution」
②「SVBONY CLS」
③「ASTORO LPR type1」
さて、続いてHⅡ領域の表現では圧倒的なパフォーマンスを発揮した、デュアル
・ナローバンドの三枚です。
④「サイトロンQuad Band pass」
⑤「ZWO Duo-Band」
⑥「STC ASTORO-DUO Narrowband」
これもZWOに負けず劣らずの露出不足。いや、さらに悪いか。いいとこは、ピントがシャープになっているところくらいでしょうか。、デュアル・ナローバンドの王も、小宇宙が対象では相手が悪かったですね。評価「2.6」。
さて、以上、バンドの狭いフィルターほどコントラストがつけられたHⅡ領域とは逆に、光害をカットしつつもできるだけバンドの広いフィルターのほうが小宇宙を良く表現する、という結果になりました。
が、ここで、デュアル・ナローバンド三種の特別オプションとして、4倍露出の16秒での結果を見る、をやってみましたところ・・・・
⑥「STC ASTORO-DUO Narrowband」(16秒)
⑤「ZWO Duo-Band」(16秒)
これは、他のデュアル・ナローバンド2種類とは違って充分鑑賞できるレベルですね! これも赤外成分が効いてるのかな?
QBPが950nmあたりの赤外線を透過していると無理に仮定して、4倍露出で赤外成分の蓄積が効いてきた、と無理やりこじつけることもできます。ASI294MCのこの帯域の感度は可視光の20%程度と考えると、4倍露出の整合性もある感じがします。この16秒露出での、NGC2904の表現は「ASTORO LPR」4秒露出より少し落ちますが、評価「4.5」はつけられるでしょう。QBPは露出時間さえかければ小宇宙の電視観望にも実用性があるということですね。やっぱりQBPは「ハンパなかった」です。
さて、各フィルターの通信簿です。
4秒露出での総合評価は、SVBONY CLSが最高で8.5。短い露出時間でHⅡ領域にはそれなり、小宇宙では最高のパフォーマンスを示しました。
反面、ZWOやSTCのデュアル・ナローバンドはHⅡ領域では優れているものの、小宇宙で惨敗。
やはり、HⅡ領域で電視観望に必要十分な性能があり、小宇宙でも露出を延ばすことでかなりの表現ができるQBPが、やはり汎用性最強、ということになりそうでしょうか?
ということで、電視観望に使うフィルター、最初の一枚はQBPを買いましょう! という結論になりました。
***
・・・・しかし、ここで大どんでん返しなのですが、今回の実験で、さんざんフィルターを差し替えてピント合わせ直しを試みていたことでフィルターを変えても実用上ピント位置が変わらないフィルターの組み合わせがある、ということが判明いたしました。
したがって、フィルターターレットもしくはスライダーを導入して、小宇宙などの連続スペクトルものには「SVBONY CLS」を、HⅡ領域などの輝線スペクトル物にはいずれかのデュアル・ナローバンドを切り替えて使うというのが「時短」電視観望実現にベストの方法として、俄然、浮上してきたのであります(笑)。やっぱり、限られた条件でもできるだけ最高に光学系の性能を発揮した状態で見たいですので・・・・
というわけで、当ブログの電視観望ポリシーは、自分勝手にどんどん変遷していくのであります。
いずれ、そっち方面の運用・報告もあろうかと!
したがって、フィルターターレットもしくはスライダーを導入して、小宇宙などの連続スペクトルものには「SVBONY CLS」を、HⅡ領域などの輝線スペクトル物にはいずれかのデュアル・ナローバンドを切り替えて使うというのが「時短」電視観望実現にベストの方法として、俄然、浮上してきたのであります(笑)。やっぱり、限られた条件でもできるだけ最高に光学系の性能を発揮した状態で見たいですので・・・・
というわけで、当ブログの電視観望ポリシーは、自分勝手にどんどん変遷していくのであります。
いずれ、そっち方面の運用・報告もあろうかと!
コメント
コメント一覧 (6)
私は超光害地での撮影なので、可視光域はもうさっぱりあきらめ、Hαより長波長~近赤外です。(シーイングの影響も受けにくくなるそうですしね)
しかし皆さんカラーには結構こだわりがあるのでしょうね。
uwakinabokura
がしました
ぜひ入手されたらレポート期待しております!
Hαが通るという特性も結構ポイントが大きいかもしれませんので、
ebayなどで売っているIR 630 とか、値は張りますがAstronomikのProPlanet 642 BP も^^
私は今ProPlanet 642 BPを集中して使っています。
uwakinabokura
がしました
https://www.astronomik.com/en/news/lucky_imaging_with_astronomik_proplanet642bp_en/
uwakinabokura
がしました