小宇宙(銀河)の電視観望に最適なフィルターを探す(予告編)の記事を書いて、晴れ次第やろうと思っていたその晩に意外と晴れそうな感じになってきました。
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1時間でも晴れてくれれば、の期待を込め、「SP140SS + クローズアップレンズNo4(合成fl=437mm、合成F3.1 仕様)+ ASI294MC + AZ-GTi経緯台+SharpCap」のシステムをベランダに出します。
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恒星でアライメント、ピント合わせはできましたが、なかなか雲がなくなりません。
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しかし、雲のない東の空で、昇ったばかりのM57をやったりしていると、知らん間に、空一面快晴になっていました!
m57 4s 52stack
(SvBONY CLS フィルター 8秒露出 52スタック 部分拡大)

さて、この日の空は限界2等星程度。少し透明度が悪そうであまり良い条件ではありません。ところで、最近思いついたのが、輝度の低いM101の写り方で空の条件を客観的に判断する「指標天体」作戦。たぶん、当方宅の環境ではM101 の腕の暗いところの輝度と、空のバックグラウンドの輝度が条件によって「いい勝負」を繰り広げているのだと思います。
m101 16s 38stack
(サイトロンQBPフィルター 16秒露出 38スタック)
うーん、条件が良いと、もっと腕が明瞭に出るんだけど、やっぱり外周部はっきりしないな。まあ、今日はこんな感じか。

さて、しかし今日の対象はM51。
フィルターは、①SvBONY CLS ②SvBONY UHC ③ミザールμ ④サイトロンQBP の4つ。4秒、8秒、16秒の露出を三段階、各42~45スタックをおこなっています。画像処理のやり方は一定していませんが、それぞれの画像でベストの階調を得るべく頑張りました(笑)。比較画像はM51の部分のみを切り出しています。

まずは、4秒露出で。左から
①SvBONY CLS         ②SvBONY UHC      ③ミザールμ        ④サイトロンQBP 
4s
①が最も暗い部分が出ています。③がそれに続きますが、③の方が強調処理でのノイズが少なくシャドウ部の「ノリ」(?)がよい感じでした。②は③より少し劣ります。④のQBPに至っては「惨敗」。渦巻きが辛うじてわかる程度の露出不足です。

続いて、8秒露出
①SvBONY CLS         ②SvBONY UHC      ③ミザールμ         ④サイトロンQBP 
8s
8秒露出が、各フィルターの差が最も少なくなりました。どれも同じような写り方になっています。4秒から8秒に露出を延ばすことで、暗い部分が写りはじめる(②)か、ノイズが減る(①、③)かの効果が認められました。特筆すべきは④のQBP。突然暗い部分が写り始め、ノイズも減っています。

最後に、16秒露出
①SvBONY CLS         ②SvBONY UHC      ③ミザールμ        ④サイトロンQBP
16s
これはもう、④QBPの圧勝と言えるでしょう。①②③においては中心部が白く飛び始めているのに対し、④では「飛び」は抑えられているわりに腕の表現も良く、結果的に全体的な階調が最もよくなっています。さらにHⅡ領域? と思われる赤い点も表現され彩度の面でも他の3つを上回っています。

しかし、露出時間によってこのようにフィルターの性格が変わって来るのは意外でした。前回の「予告編」に載せた各フィルターの特性曲線との因果関係は今のところ不明ですが、今後何らかの手がかりをつかんでいきたいですね。

さて、総合結果ですが、もちろんサイトロンQBPの優勝! やっぱりQBPはハンパなかった!
優勝記念に(笑)、その後80スタックしたものを下に載せます。
qbp 16s 80stack
準リアルタイムの電視観望でここまで見られれば文句はないですね。

現在のところ、電視観望最適フィルターは、サイトロンQBPであると個人的には断言できる域にまで達してきましたが、最短時間で腕の暗い部分までとらえられる、「SvBONY CLS」も捨てがたいですね。特に「時短」要素の重要性が増す、「一般向け電視観望」のオプションとしてキープしておくべきフィルターと思います。

というわけで、この後も雲が出なかったので、「QBPによる夏のHⅡ領域他電視観望祭り」に突入いたしました! その模様は次回更新にて、ですが予告編として、網状星雲43スタック。このOⅢの彩度にはビックリしました!
ami 8s 43stack
いやー、ここしばらくはSV305で「50ccバイクフルチューン」的な感じに必死で性能絞り出してたもんだから、ASI294MCが楽で楽で(笑)。