現在、電視観望における当方のメイン鏡筒になっている、CELESTRON・SP-140SS改です。
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これは口径14㎝、fl=500mm、F3.57というノーマル状態でも強烈なスペックを誇る、「シュミット・ニュートン」なのですが、そのままでは強烈なコマ収差を発生しますので、「ケンコー・クローズアップレンズNo4」を、「コマコレクター・フィールドフラットナ―・フォーカルレデューサー」の一台3役(!)の補正レンズとして使い、合成fl=437mm、合成F3.1 としています。

もともと、この補正レンズは、No2,3,4を実験的に使ってNo4を採用したものですが、電視観望の結果と照らし合わせるために、光学シミュレーションをやり直してみました。
補正レンズと焦点面が前に飛び出していますが、実際の鏡筒では光路は斜鏡で90°横に曲げられて鏡筒外に出ます。

スポットダイヤグラム
10-30spot
中心星像は10μm、周辺(入射角1.5°)は30μm、これは実用上まあまあの値と言えるでしょうか。ちなみに入射角1.5°は、4/3"の19.1×13.0の対角線、23mmを想定(つまり視野4スミの端っこ)を想定したものです。

実際の鏡筒で4/3"のASI294MCを使った時の周辺星像(4スミの右下)はこんな感じでした。
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センサーサイズ4.6μmのASI294MCで、6~7ピクセルになるでしょうか? 
それだと、27.6~32.3μmということになり、シミュレーション結果ともだいたい一致しますね。

あと、少し色収差が出ていますが、赤が外側、青が内側になっていて、やや負修正ということになるでしょうか。これは上のスポットダイヤグラムでも同じ傾向が出ていますので、整合性があります。

しかし、実際の電視観望ではそんなに星像を拡大しないので、
ami 8s 43stack
このように全面ピンポイント気味の星像となり、実用上全く問題はありません。

ところで、このシュミットニュートンですが、コンパクト化のためシュミット補正板が最適値よりかなり主鏡に近い位置に置かれています(シュミット・カセグレン他、シュミット系の多くで同じ設計がなされる)。これを最適位置(補正板~主鏡が605mm程度)まで離してみますと・・・
kouro2
このようなスポット・ダイヤグラムとなり
27mmスポット
中心10μm、周辺20μmという、まずますの性能を示します。しかし、鏡筒がかなり長く重くなることになるので、この辺がトレードオフと言えますね。

あんまり光学シミュレーションやると、作れもしない鏡筒案のバックオーダーを増やすことになるので、ロクなことがないのですが・・・(笑)