
SVBONY SV305はセンサー面積が小さいので、焦点距離の長い対物と組み合わせると非常に視野が狭くなり使いづらくなります。そこで、fl=120mmと焦点距離が短いこの鏡筒と組み合わせて電視観望に使おうと考えました。
もちろん自分はAZ-GTiに搭載。
ネジのピッチが細かいためフォーカシングに時間がかかる上、ロックした瞬間にピントが微妙にずれるので、そのバックラッシュを読みながらの操作を強いられるなど、使いにくさ満載ですが、いったんロックした後の剛性感だけは、ラック&ピニオン、ヘリコイド、クレイフォード等、他の方式の追随を許しません。おそらくコストも安く、ギリギリの実用性もあります。ある意味SvBONYらしい仕様とも言えますね。
まあ、普通の色表現ですね。ノーマル機の光学ウインドウが、通常の撮影に際して適切なものを採用しているということが改めて証明されています。
で、SV305 をレス改造機に交換(ノーフィルター)してみますと・・・

まず、ピントがどうやっても合わせられません。さらに、これもカラーバランスはSharpCapの「Adjust」を使用しているのですが、一気にエキセントリックな色調になりました。これがIMX290センサー本来の感色性になるのでしょうか。特筆すべきは赤外線を強く反射する「木の葉」が白く表現されているところですね。さらに空が青いのも紫外線の影響でしょうか。
これがソニーから公表されているIMX290の特性ですが、白い表現になるということはRGBの感度が同じになる800nmあたりより長い波長域が強いということでしょうか。
さて、それならと、UV/IRカットフィルターをつけてみますと・・・
次にSvBONY CLSフィルターで。
続いてサイトロンQBP。
地上の風景を見る限りCLSと同じような色表現になりますね。
色表現はQBPとほぼ同じ。しかし一気にシャープになっています。QBPから赤外ピンボケを取り除いたらこんな感じになるのでしょうか?
ということで。最近時々やっている、QBPとUV/IRカットフィルターの「ダブルスタック」

おっと、これは色表現がかなり緑に寄って普通に近づきましたね。UV/IRは670nmあたりより長い波長をカットするので、IMX290センサーで赤く写る成分がだいぶ減ったためと思われます。さらに赤外ピンボケもなくなってそれなりにシャープな結像です。
ここで、番外、ZWO IR850フィルターを使用してみます。下の表によれば800nmより長い波長での「赤外白黒写真」が得られるはずですが・・・・

はたして、期待通りの画が得られています。

・・・この空が真っ黒に写る感じは往年の「さくら赤外750」フィルムそのものですね。しかし、ピントは今一つ甘いです。そらそうですよね。800~1000nmの範囲の色収差補正とかしてるわけないですから・・・・一番手前の斜めの電線がピントがボケまくり過ぎて「消えそうになっている」のも面白いです。
ご覧の通りの天候。しかし、一瞬の晴れ間で少し電視観望ができました。
M13、SV305レス改造機、ノーフィルター8秒露出。
やはりSV305にはfl=120mmぐらいがいい画角を提供してくれそうです。予想通りの赤外ピンボケではありますが、意外にM13が写ってたので中央拡大。
次は、UV/IRカットフィルター、8秒露出
で、ここで赤外を通す、SvBONY CLSフィルター、16秒にしてみますと・・・
で、サイトロンQBPフィルター、8秒露出。
これは暗くて(これも薄雲の影響?)フレームアラインができませんでした。さらに輝星の周りの「白ハロ」に赤外ピンボケの雰囲気が漂います。
さらに、以前、望遠レンズで経験した「OⅢとHαのピントが一致しない」がこのQBP使用の時に感じられました。ひょっとしたら「SV165コンパクトガイドスコープ3cmF4」の対物レンズは、C線とF線を一致させている古典的なタイプではないのかも知れません。3cmF4のレンズは別口の手持ちが何枚かあるので、レンズ換装で確かめてみるのも面白いですね。
ということで、この後ほぼ曇ったので、実験は強制終了。
後日、このテーマで再度検証いたします!
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