サイトロンの5cmF4「NEWTONY」ですが、少なくとも当方所有の機体の主鏡に関しては、フーコーテスターによるナイフエッジ画像はフラット、人工星をナイフエッジで切れば偏球面の影、さらにロンキーテストで焦点内糸巻き型、焦点外樽型と言うことで、「球面鏡」と判定しております。
人工星による星像テストでもピント位置が釈然とせず、球面収差をどげんかせんといかん! と思っていたのですが、例えばTANZUTSUでは球面の主鏡にバロー? の補正レンズでシャープな見え味を叩きだしており、ひょっとしたらこのパターンでいけるのでは? と思い立ち、実験してみました。
おい おい おい おい!
バローなしの時は一切見えなかった、エアリーディスク&ジフラクションリングが来ているではありませんか!(ちなみに写真には写ってません)
何ですか、F4の強烈な球面収差がアッサリとバローで補正ですか?
これは衝撃です。
114mmF4.4の球面鏡にバロー使ってもこんなにはなりません。
5cmという小口径だから、全体的なスケールがダウンして球面収差がジフラクションリミッテド内に収まった? ともかく驚異の豹変です。
取りあえず、この状態でのバローの拡大率が実測2.2倍、合成fl=440mm、合成F8.8ということになります。しかし、問題もあり、ピントが無限大に合う位置では、
そこで、バローのレンズ部分をはずして、アイピースのバレル先端にねじ込みます(ビクセンのバローTはこれができる)。
この状態で、拡大率は実測1.7倍、合成fl=340mm、合成F6.5となります。何だかいい感じのスペックになってきました。
実際に星を見てみないと実用性は判定できないですが、これなら、ひょっとして火星の模様も見えるかも知れないですね。
いやいや、やっぱりこのニュートン野郎、只者ではないな!
コメント
コメント一覧 (12)
エアリーディスク&ジフラクションリングが見えたってことは火星の模様も大いに期待できますね。
私は6月中旬に5cmで極冠と中央付近の暗部を確認できています。
今はその頃より10%くらい視直径が増加していますし、、。
uwakinabokura
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https://en.wikipedia.org/wiki/Newtonian_telescope
Variation : Jones-Bird
以下のwikiにはさらに詳しいことが解説されていました。
http://astrowiki.jmhastronomy.com/index.php?title=Bird-Jones_Telescope
バードジョーンズ望遠鏡:球面主鏡+補正レンズ:焦点距離を長くすることで収差を低減するという原理を利用したBarlowレンズ
uwakinabokura
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ここに、コレクターレンズの構成について更に詳しい解説が掲載されていました
uwakinabokura
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バローレンズ使用で球面収差が改善される件ですが、
球面鏡の球面収差の量はF値の3乗に反比例(1/F^3)するそうですので、F8ではF4に比べて球面収差が1/8ほど減少する計算になります。
単純にF値を大きくするだけでも星像が大幅に改善し、放物面とあまり違いがなくなるのかもしれませんね。
uwakinabokura
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F値を大きくして球面収差が小さくなっても、バローレンズの収差が加わるので、見え味は
F8 > F4.4+バローレンズ>F4.4の順位になるのは納得できます。
ですので、サイトロンの5cmF4「NEWTONY」にバローレンズを使った場合にも、多分同じような順位になっているんでしょうね。
昭和40年代に10cmF10反射が入門機として流行しましたが、10cmF10では放物面鏡でなくとも球面鏡で十分であったと言われてます。
ところで、コルキット10cmF5反射望遠鏡製作キットの反射鏡をフーコーテスターで見たことがありますが、安価なキットなので案の定、球面鏡でした。
収差がひどいのではと思いきや、意外と見え味はそんなに悪くない。
調べてみると、斜鏡の寸法が小さく、主鏡の有効径を活用しておらず、ちょうど主鏡を絞った形になっており、結果としてF値が大きくなっていることによる怪我の功名(あるいは意図したもの)によるものではないかと想像しました。
uwakinabokura
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実は私も足立鏡を持っています。学生時代に購入した12cm F8.3鏡。
実に美しい放物面です。
球面鏡の球面収差を軽減するのに口径を絞ることしか頭になく、バローレンズを使うというアイデアは浮かばずじまいでした。
口径が小さいほど、ある程度のF値以上であれば球面鏡でも実用上問題ないレベル(1/4λ以下)になるとはいえど、バローレンズがうまく収差を補正してくれている可能性があるわけですね。
uwakinabokura
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