球面鏡等で発生する球面収差は単純に言うと「中央部と周辺部の焦点距離の差によるピンボケ」なので、鏡周を絞ったり中央遮蔽を増やすとどちらかの焦点位置に寄せられるため、結果として収差を減少させることができます。

今回、NEWTONY5cmF4の中央遮蔽を増やしてみてシャープネスが向上するかどうか確かめてみました。

黒画用紙を∮33の円形に切り出したマスクを作り、斜鏡ホルダーに貼り付けました。
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この状態で、中央遮蔽による光量損失を考えると集光力はだいたい、40mmぐらいになります。
集光力は4cmF5相当ということになるでしょうか。

これで14m(我が家の室内吹き抜け最大距離)ほど先に置いた人工星を見ます。
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ピンホールの大きさがいろいろあるのですが、一番小さい2つを狙います。
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写真にはうまく撮れないのですが、眼視ではエアリーディスクやジフラクションリングの有無が観察でき、結像の評価ができるのです。

結果は・・・33mmマスクにより明らかに球面収差の減少が認められました!

例えば、付属のアイピース20倍では、ピントの合う位置がはっきりしないのですが、33mmマスクの状態ではピントがかっちり来ます。ビクセンのバローTをつければお約束のエアリーディスク&ジフラクションリング!

あと、いろいろな組み合わせを試しましたが、今回、もっともエアリーディスクはっきりしていて、さらにジフラクションリングに対して明るく感じられたのがこれ。
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ペンタックスのXO2.5mmのバレル先端にバローTのレンズのみをねじ込みんだ、推定133倍、瞳径0.4mmです。もちろん33mm斜鏡マスクをつけた状態(マスクを外してもジフラクションリングは見えましたが、少しハロのようなものが出てコントラストが低下しました)。
ご覧のようにアイピースをかなり浮かせないとピントが来ませんでしたが、非常に美しい星像でした。このシステムで火星の模様や土星のカッシニ空隙を狙おうと思います!

さて、実はこの中央遮蔽の考察はただ球面収差の減少だけを目的としているのではなく、実は大径の斜鏡に換装してバックフォーカスを長くとる、というのが主な目的です。

NEWTONYのノーマル状態は、バックフォーカス・斜鏡径の中央遮蔽が絶妙にパッケージングされていて、これしかないというバランスで仕上がっています。しかし、短焦点アイピースの中にはバックフォーカスが足りなくて合焦しないものも多く、さらに電視観望のためにCMOSカメラをつけようとすると惜しいところでピントが出なかったりと、やや汎用性に欠ける(汎用性を求めること自体がこの望遠鏡の目的外使用なのですが 笑)面もあります。斜鏡を20mm→33mmとすることで、バックフォーカスを10~15mm程度増やすことができそうなので、これにより、すべてのアイピースで合焦、電視観望も可能、さらに前回記事で取り上げた「NEWTONY双眼」のレイアウトにも自由度か増してきます。

この汎用性に球面収差減少が加わるとなると、まさにいいことずくめ!

唯一懸念される中央遮蔽増大による惑星の模様コントラスト低下は、接眼部対面部の「light trap」等の迷光処理でかわす計画。この「ワイルドなニュートン野郎」に対する改造オプションの皮算用だけはどんどん膨らんでいきます(笑)

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おまけ

NEWTONYには焦点面にすりガラスが置けるアイピースが付属しており、これで地上を見るとこのようになって面白いです。
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バローと併用すると月のクレーターくらいなら見えるかも知れないですね。コロナ禍中の観望会にはいいかも。