NEWTONY5cmF4鏡筒は最低限のバックフォーカスで非常に効率の良い設計になっているのですが、反面、短焦点のアイピースや電視観望用のCMOSカメラを使おうとするとピントが来ないという問題がありました。

そこで、今回はバックフォーカスの延長のための改造をおこないます。

バックフォーカスを延長するためには、鏡筒を切断して詰めるなどの方法もありますが、今回は主鏡の下に板を配して斜鏡方向に近づける、いわゆる「下駄はかせ方式」で行きます。

まず、主鏡セルをはずします。
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主鏡はセルに両面テープで接着されているので・・・
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カッターナイフを入れてこれをはがします。
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三か所で取り付いていますね。コスモキッズの主鏡などと同じ流儀(?)です。
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さて、主鏡は下駄はかせ用の合板に再度貼り付け、主鏡セルに3か所穴をあけてバネで突っ張る方式の光軸修正機構を追加しました。
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・・・とさらりと書きましたが、実はこのセルの改造だけでも4時間くらいかかっています(笑)
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裏側のツマミが「引きネジ」になっていて。これを回すことで主鏡のスケアリングを行うことができます。バネで突っ張っているので押しネジが必要なく、調整が非常にスピーディです。鏡の自重が軽い小口径には最適の方法と言えますね。

鏡筒に取り付けるとこんな感じ。
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かなり主鏡が出っ張っています。カバーを閉じるとこれは見えなくなるので「人に知られずにバックフォーカスが延びている」まさにシークレットブーツ状態!
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これにより、右のノーマル鏡筒と比べて、14mmほどバックフォーカスを延長することができました。

さてこのまま斜鏡がノーマルの20mmでも中央光束はケラれないのですが、イメージサークルがノーマルの2.6°に対し1.3°(焦点面で∮4.5mm)と非常に小さくなるので、その確保と中央遮蔽増加による球面収差減少を期待して、斜鏡を径の大きいものに換装します。
(眼視専用なら斜鏡の大径化は必要ないかも知れません)

斜鏡も両面テープで止められているのですぐ外すことができます。
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今回は20mm→25mmでやってみます。これによりイメージサークルは3.5°となり、焦点面で∮12.2mmとなる予定。これはセンサーが、5.6x3.2mmであるSV305には十分以上ですし、19.1x13.0mmのASI294MCでもそれなりにカバーできる値と言えます。 
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左が新たに装着する25mmの斜鏡ですが、何と高橋製作所製。ずっと大事にとってあったのですが(笑)、今回、ニュートン野郎のために放出することにしました。

さて、新しい斜鏡はもとのものより1mmほどガラスが厚いので、そのままでは位置が狂ってしまいます。元の斜鏡が1mm厚くらいの両面テープでついていたので、両面テープではなくボンドで直接斜鏡ホルダーに貼り付けてガラスの厚みの差を吸収しました。もちろん偏心取り付け。
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レーザーで光軸調整。
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中央遮蔽は、堂々の直径比50%となります。
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中央遮蔽による光量損失を考えると、口径45mm相当の集光力となりますね。

さっそく、アイピースをつけて地上風景を見ます。ノーマルではピントが来なかった、谷Or4mmも楽勝。
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50倍ですが、ものすごくシャープな気がします。中央遮蔽50% でも球面収差は結構減っているかも知れません。

さらに、この望遠鏡の最重要使途として位置づけていた、SV305での電視観望はどうか?
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おお! ノーフィルター状態でも紫外域から赤外域までピントがバッチリや! それに電子でもやはりシャープな気がする!

ついでにR850フィルターをつけての赤外。
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白黒になるけど赤外でも鋭い結像です。やっぱり反射はいいなあ! これは電視観望にかなり期待が持てそうです。

ちなみに、SV305でノーフィルターの時のピント位置はこんな感じ。
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けっこうギリギリでした。今回、バックフォーカスは14mm延長しましたが、10mm延長程度ではピント合わなかったかも。

以上のように、NEWTONY”ワイルドなニュートン野郎”の汎用性が大幅に増強されました。もう何でも来いですが、特に電視観望をやるのが楽しみです!

今回の改造は自己責任で臨むなら推奨、ということでよろしいかと思います。

・・・ただし、作業は結構面倒くさく、自分は丸一日かかりました(笑)。