ネオワイズ彗星の待機時間にNEWTONY改で、月・惑星を観望しております(その後、彗星は見られませんでした)。
月なんかこういう状態ですしね↓
見た時間帯は、全天的に晴れてはいたのですが、薄雲がかかってかなりコントラストが悪い状態。その条件でのインプレとなります。さらにこのNEWTONYは筒外焦点を延長するための改造を行って、中央遮蔽直径比50%となっているものです。
まず、ビクセンバーローTのあるなしでの比較を木星でおこなっていたのですが、バーローなしでは木星の周辺に球面収差によるものと思われるハロが明らかに認められました。バーロー使用では輪郭がくっきり見えます(ただし、この日は薄雲による周辺散光あり)。月・惑星用に高倍率で使う時はバーローが必須となりそうです。
使用したアイピースは下の5種類。
前列左から、シリーズ500PL4mm、SR4mm
後列左から、ペンタックスXO2.5mm、谷光学Or4mm、3群5枚PL4mm
です。
これは良く見えたものを前列、今一つだったものを後列に並べています。
XO2.5mmは人工星を見たときはよかったのですが、実際の惑星観望ではあまり良く見えませんでした。
ベストは、シリーズ500PL4mm。
SR4mmも中心像は良いのですが、良像範囲の狭さでシリーズ500にはやや劣ります。
で、この組み合わせがベストということになりました。
球面鏡に色消し凹レンズを組み合わせて球面収差を補正する光学系を「Jones-Bird 」というらしいです(Jones-Birdってこういうこと?)。この補正光学系は、古くはミザールCX-150型や、東和のTANZUTSUで採用されていた思われます。
今回は普及品のバーローが偶然NEWTONY5cmF4の補正光学系としてマッチした? というまぐれが発生している可能性がありますね。
ただし、安物の望遠鏡の代名詞ともなっているらしく、初心者が「買ってはいけない」悪い望遠鏡のブラックリストとしてJones-Bird望遠鏡があげられまくっているサイトもあり。そこまで「悪」なのでしょうか(笑)。
さて、それはともかく、NEWTONYにビクセンのバーローTを組み合わせて、光学性能が一気にグレードアップするのは事実。この幸運な偶然を享受しない手はありません。
ちなみに、ノーマルのNEWTONYにバーローを普通に使うと先端が主鏡に影を落としてしまうのですが、
今回使ったのは筒外焦点を延長した仕様なので、
さて、前置きが長くなりましたが、もっとも見え味の良かった「バーローT+シリーズ500PL4mm」での各天体の見え方を書きます。バーローTの拡大率は実質2.2倍なので110倍、瞳径0.5mmとなります。
木星
縞模様2本は確実に見える。模様がうねっている様子や細かい部分も見えているような気がするが、コントラストが低く良く分からない。ガリレオ衛星はもちろん見える
土星
輪や本体の輪郭がはっきりしている。カッシニ空隙もあるような気もするが確証が持てない。本体がほんのりと黄色に見える気がする。
火星
極冠が明らかに認められる(!)。完全な円形ではなく少し欠けているのもわかる。本体模様も見えるような気がするが、コントラストが悪く確証が持てない。
月
詳細な地形や細かいクレーターまで見える。ただし、「海」の部分は暗いので細かい部分の視認性がやや劣る。
というわけで十分、月・惑星の観望に使えます!
さらに、透明度の良い条件では「はっきりしない」と表現した内容は全部見える気がしました(ただし、今後の検証必要)。「バーロー使用+(おそらく)レンズ構成の単純なアイピース」という前提になりますが、想像以上のパフォーマンスと言っていいのではないでしょうか?
さらに、自由雲台式の架台ですが、左手で鏡筒を持って動かし、右手で素早くクランプ、という使い方でも、振動収束が早くバックラッシュのない快適な操作感でした。「ヌルッ」と動いてピッタリ止まります。鏡筒が短くて軽いので、振動の慣性も、たわみ等によるバックラッシュも小さくなっているのでしょう。これにより、110倍でも「日周運動の間欠手動追尾」が十分行える、という結果になっており、このクラスとしては画期的、ひょっとしたらこの望遠鏡最大のアドバンテージと言えるかもしれません。
反面、実質使えなかったのが、照星式のファインダーですね。
地上で見た時は、これはシンプルで使いやすいな、と思ったのですが、実際に夜空に向けた時は非常に見えにくく、結局鏡筒全体で狙いをつける感じになりました。もう少し照星部分を大きくして後ろの方は主鏡セルあたりの位置に置いた方がよさそうです。
地上で見た時は、これはシンプルで使いやすいな、と思ったのですが、実際に夜空に向けた時は非常に見えにくく、結局鏡筒全体で狙いをつける感じになりました。もう少し照星部分を大きくして後ろの方は主鏡セルあたりの位置に置いた方がよさそうです。
これまで、コスモキッズ、ケンコースカイステージ、レイメイRXA100、ハレーマルチ、TANZUTSU・・・・等々、アンダー8cmクラスの反射望遠鏡を散々いじくり回して参りましたが、いずれも非常に面白い望遠鏡であるものの、それぞれ強烈な「クセ」を持っているため使いこなしにコツが必要で、「初心者の最初の一台」にはとても勧められないものばかりでした。
このNEWTONYで初めて、「これが最初の望遠鏡というのもありかな? 」と思えました。こういう良作はぜひヒットしてもらいたいですよね!
・・・別にサイトロンの回し者ではありません。
コメント
コメント一覧 (6)
これまでの記事から見え味はある程度想像できていましたが、110倍でも快適に操作できるとは意外でした。ほんとに凄い望遠鏡ですね。
ところで改造なしで付属していたアイピースで見るとどんな感じでしょうか?
uwakinabokura
がしました
uwakinabokura
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