さて、今日はNEWTONYの改造機(奥)とノーマル機(手前)で惑星の見え方の違いを検証します。
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改造機は25mmの斜鏡を使用して14mmバックフォーカスを長くしてあります。また、その分中央遮蔽が大きくなっているので、少し球面収差が減っているかも知れません。

まず、両者ともバーローを使わない状態では高倍率は全然ダメですね。惑星にも恒星にもキチッとピントが合いません。あきらかに球面収差の影響が感じられます。バーローなしでは低倍率専用ですね。付属アイピースの10mm20倍は、そういう意味ではいいバランスだと思います。

しかし、両者ともビクセンのバーローTをつけることで劇変!
高倍率での惑星観望に十分使える鋭い結像となります。
これはもう、JONES-BIRDタイプの「カタデオオプトリック」望遠鏡と言い切っていいでしょう!

バーローをつければ、付属の10mmアイピースを使用した場合でもキチッとした惑星の輪郭を見せてくれました。しかし、その状態では倍率が低く、惑星の模様を見るどころじゃなかったので、現状、NEWTONYにもっとも相性が良いと思われる、中華製”シリーズ500”PL4mmを使用。
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ビクセンのバーローT(2.2倍)と組み合わせて、110倍となります。

ただし、ノーマル機では上の組み合わせだとバーロー先端が斜鏡に接触してピントが合わなかったので、レンズ部分をPL4mmバレル先端にねじ込み、必要バックフォーカスを短く抑えた
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拡大率1.7倍、倍率85倍で検証しました。

さて、タイトルにもあるように実際に土星のカッシニ空隙が見えたかと言うと・・・・





見えました。

しかも改造機、ノーマル機両方とも、です。輪が明らかに2重になっているのがわかります。さらに、本体が黄色く立体的な球形に見え、模様はさすがに・・・あるのかな? ぐらいの感じでした。木星も見ておりますが、一番太い縞模様は波打っているのがわかり、周辺の細かい模様もシーイングが止まった時に「スッ」と見えてきます。ただ、模様のコントラストは少し低いでしょうか? 火星が昇ってくる前に雲ってしまい見られなかったのですが、この調子では極冠はもちろん、本体模様も楽勝で確認できることと思います。

改造機、ノーマル機とも土星、木星の見え方はほぼ同じ内容を確認できましたが、改造機の方が楽に見ることができました。性能的にはやや勝ると言えます。

改造機のどこにアドバンテージがあるかと言うと、まずバックフォーカスに余裕があるため、バーローの筐体がそのまま使え、拡大率が2.2倍になるので倍率を少し高くできるということ、次に、主鏡の光軸調整装置を追加しているので、しっかり光軸を追いこむことができること、といったところでしょうか。

ただし、NEWTONY主鏡の光軸調整機構の省略は、これはこれで意味があります。NEWTONYに採用されている球面鏡には光軸中心が存在しないため、斜鏡だけで調整し、レーザーを接眼部中心に戻って来させた時に、レーザーが主鏡の中心を少し外したとしていても大きな問題にはなりません(放物面鏡ではこれだとダメ)。下手に主鏡に調整機能をもたせてニュートン式特有の「調整の堂々巡り」に陥ることが防げ、大きな実用性があるのです。また、家に届いたデフォルトの状態で光軸はそこそこ合っており斜鏡の調整ネジもかたく締められていましたので、通常、オーナーがここをいじる必要も生じなさそう、というのもいいですね。

あと、何度か言ってますが、短くて軽量の鏡筒と自由雲台式の架台の組み合わせが非常に使いやすく、フリクションを適度に調整すれば、フリーストップでの操作が、「振動収束時間・バックラッシュともに最小」でおこなえます。付属アイピースでの20倍なら快適そのもの、110倍まで倍率を上げても、少し慣れれば日周運動の手動追尾も可能なほど!

まさに「実用性重視」の塊、各部に「ちぐはぐさ」がなくトータルで割り切られた設計思想が垣間見え、どうしても「ワイルドなニュートン野郎」と言ってしまいたくなります。
率直に言って、初めて望遠鏡を買う初心者に最も勧められる望遠鏡ではないでしょうか?

さて、このNEWTONY、売れに売れているのではないかと想像しているのですが、新しくオーナーになられる方にぜひとも申し上げておきたいのは・・・

何とかしてバーローを取り付けてください。高倍率での性能が別物になります!

の一言です!

ニュートン野郎の輪が拡がっていって、双天会で「オーナーズ・クラブ会議」とかできたらうれしいですね!