ナイトビジョンのフィルターによる見え方を少し検証しました。
光学系はGINJI150FN にクローズアップレンズNo5の0.72×レデューサーを使ったアフォーカルシステム(縮小光学系)、F2.9、6.5倍、瞳径23mmのシステムになります(ナイトビジョンの開口部が21.7mmなので少し口径食をおこしますが細かいことは気にしません 笑)。
IMG_0803
相変わらず接眼部が大きくオーバーハングしていますが、不動点の方に近づけていますので、仰角による接眼部の移動が少なく、「準山崎式」とも言える状態になってはいます(笑)

さて、今日は比較的透明度がよく、限界等級も3等までは見えている感じでした。月はまだ昇ってません。

まずは、北アメリカ星雲対象に、650nmロングパスフィルター、Hα干渉フィルターの半値幅12nm、7nm、3.5nmでの見え方を比較してみます。以下、画像はiPhoneのカメラによるコリメート撮影を16枚合成してガンマ調整により眼視力のイメージに近づけたものです。

まずは、650nmロングパスフィルター。
このフィルターではHαから近赤外までの帯域を見ることになります。
650nm
北アメリカがうっすらと分からないでもないですが、視認性はかなり悪いですね。それとレデューサーによる逆コマの発生が良く分かります(笑)

続いて、Hα12nm。
12nm
一気に見やすくなりましたが、やはりまだコントラストが悪いです。

Hα7nm
7nm
星雲のコントラストが良くなると同時に、星像のボテりやコマも少し軽減され、鑑賞価値が一気に増しました!

さらに、Hα3.5nm
3.5nm
これは一気に暗くなってしまい、星も減り過ぎて見栄えがしませんでした。よく見ると星雲の描写がきめ細かくなっている気もしますが、眼視では暗すぎてそこまでわかりません。
これは以前、光害のない場所でナイトビジョンによるHα半値幅の違いを検証した時とほぼ同じ傾向ですね。この時は15cmF4、11倍、瞳径13.6mmのシステムでした。
しかし、今回瞳径23mmと極限まで明るくしたシステムなので、3.5nmフィルターで暗くなるのをカバーできるかなとも思ったのですが、なかなか難しいようです。まあ、光害のない場所では違うかもしれません。

というわけで、やっぱり自宅光害地のHα観望では7nmが一番よさそう、という結論。

続いて、M31を対象に、赤外ロングパスフィルターを比較してみます。
まずは650nmロングパス。Hα~近赤外になります。
m31 650nm
続いて、690nm。これは可視光線はほとんどカットされます。
m31 800nm
・・・ほとんど変わらん? コントラストや、M31の描写ともにあんまり変化はなさそうです。
ただ、今日の条件は3等星は見えてるくらいなので、ひょっとしたら、東京などのもっと光害が強いところでは690nmのほうがコントラストが高いかも知れません。

一応、M45も690nmで見てみましたが
m45 800nm
反射星雲がわかるような、わからないような・・・

今日の検証はこんな感じ。後は、Hα7nmフィルターを使って、いくつかのDSOを流しました。

NGC7293
7293
惑星状星雲最大ですが、スケールが小さいのでM57みたいに見えますね。

ハート&ソウル
heart
souel
両方とも形が良く分かりました。

まが玉&どくろ
まが玉 どくろ
こっちはまだ高度が低いので、コントラスト悪かったです。

網状星雲
網
これもやはりもうちょっと拡大したいですね。

サドル付近
サドル
この辺はかなりにぎやかで見応えがあります。

今回の結果はこんな感じでした。
ナイトビジョンによるHα観望は7nmのフィルターが定番となるでしょうかね。