15cm F8ニュートン(スカイウォッチャーDOB6)を玄関先に出し、M 42の色を見る方法を検証しました!
DSOの眼視観望は基本的にモノクロの世界で、色が着いて見えると言えば、明るい散開星団やアルビレオなどぐらいでしょうか。これは人間が暗いものを見ようとしたときに働く、高感度の「桿体細胞」からの信号が脳内でカラーとして認識されないことによります。
DSOの眼視観望は基本的にモノクロの世界で、色が着いて見えると言えば、明るい散開星団やアルビレオなどぐらいでしょうか。これは人間が暗いものを見ようとしたときに働く、高感度の「桿体細胞」からの信号が脳内でカラーとして認識されないことによります。
人がものを見るとき、色を感じる「青錐体、緑錐体、赤錐体」の3種の「錐体細胞」で三色分解し、その信号を脳内でRGB合成することで、カラー映像として認識しているようです。そしてこれは豊富な光により「明順応」して錐体細部がアクティブになっている昼間の話。天体観望を含む夜の暗い場所での視認は感度の高い(錐体細胞の1000倍と言う話あり)桿体細胞によるモノクロの映像になるのは皆さんご存じのとおりです。
したがって、目(脳)が暗順応し、桿体細胞がフル稼働している微光天体の観望中に、基本的に色の認識はできません。しかし、例外もあってM42など輝度の高い対象に限っては、錐体細胞を使った「カラー映像モード」が機能することがギリギリ可能なわけです。が、言うても昼間に見えるものと比べたら相当暗いので、すぐに桿体細胞を使った暗順応に移行してしまい、色が見えない状態になります。
通常、(観望経験の多いベテランならなおさら)微光天体の観望に際しては、満を持して暗順応を極めた状態で行いますので、その辺をまじめにやる人ほど「色」を見る機会は少なくなるとも言えます。
そこで、明順応の「錐体細胞によるカラー認識モード」を起動した状態でM42の色を見るための具体的な方法を考案いたしました(これはutoさんから聞いた、米国での、「色を見るためのトライ」の話を参考にしています)。以下のような手順になります。
1 玄関先に望遠鏡を設置し、M42を導入
2 明るい部屋の中で2~3分過ごし、目を明順応
3 大急ぎで玄関に行き、M42を見る
4 中心部が青白く、周辺がエンジ色に見える
5 20~30秒後、色がはっきりしなくなる(強いてあげれば色があるかも、というレベルには留まる)
6 2に戻る(笑)
なお2~6を繰り返すとエンドレスに行けますが、玄関先でドタバタしていると近所や家族に迷惑になることもありますので、充分お気をつけ下さい(笑)。
したがって、目(脳)が暗順応し、桿体細胞がフル稼働している微光天体の観望中に、基本的に色の認識はできません。しかし、例外もあってM42など輝度の高い対象に限っては、錐体細胞を使った「カラー映像モード」が機能することがギリギリ可能なわけです。が、言うても昼間に見えるものと比べたら相当暗いので、すぐに桿体細胞を使った暗順応に移行してしまい、色が見えない状態になります。
通常、(観望経験の多いベテランならなおさら)微光天体の観望に際しては、満を持して暗順応を極めた状態で行いますので、その辺をまじめにやる人ほど「色」を見る機会は少なくなるとも言えます。
そこで、明順応の「錐体細胞によるカラー認識モード」を起動した状態でM42の色を見るための具体的な方法を考案いたしました(これはutoさんから聞いた、米国での、「色を見るためのトライ」の話を参考にしています)。以下のような手順になります。
1 玄関先に望遠鏡を設置し、M42を導入
2 明るい部屋の中で2~3分過ごし、目を明順応
3 大急ぎで玄関に行き、M42を見る
4 中心部が青白く、周辺がエンジ色に見える
5 20~30秒後、色がはっきりしなくなる(強いてあげれば色があるかも、というレベルには留まる)
6 2に戻る(笑)
なお2~6を繰り返すとエンドレスに行けますが、玄関先でドタバタしていると近所や家族に迷惑になることもありますので、充分お気をつけ下さい(笑)。
自分もあんまり騒がしたくないので、「2」の代わりに、望遠鏡の横で携帯の画面を見たり、玄関灯をつけたりしましたが、いまひとつでした。どうも中途半端に暗い場所では脳が本気を出して「明順応」しないのではないかと思います。ということで結局、玄関に出たり、部屋に入ったりを繰り返しています。とりあえず「玄関先ドタバタ作戦」とでも仮称しておきましょうか(笑)。
さて、今回、3種類のアイピースを使いました。
結果は、52倍(瞳径2.9mm)、120倍(瞳径1.3mm)では色が見えたものの、300倍(瞳径0.5㎜)ではさすがに星雲が暗く、色は分かりませんでした。
さらに、120倍ではバックグラウンドが暗いので、暗順応が速く進むのか、少し色が見えなくなるまでの時間が短いような気がしましたが、倍率が高い方がM42の詳細が見えるので非常に迫力があります。
これは写真を加工してプリントアウトしたものに色鉛筆で彩色して、120倍でのM42の色の見え方をイメージしたものです。
眼視での色の見え方に極力近づけるため、色の彩度をかなり下げているのですが、実際の観望では、きめ細かいM42の造形と合わせて、色彩も非常に繊細な感じに見えます。
(ご覧になる皆さんのディスプレイ設定によっては、白黒画像と変わらなかったりすることもあるかも知れません。申し訳ありません)
以上の報告は、もちろんわたくしの個人的な体験にすぎませんので、万人がこの方法で色を見られるとは限らないのですが、もしこの方法を試して、今まで見られなかったM42の色を確認することができた方がおられましたら望外の喜びです。
さらに、120倍ではバックグラウンドが暗いので、暗順応が速く進むのか、少し色が見えなくなるまでの時間が短いような気がしましたが、倍率が高い方がM42の詳細が見えるので非常に迫力があります。
これは写真を加工してプリントアウトしたものに色鉛筆で彩色して、120倍でのM42の色の見え方をイメージしたものです。
眼視での色の見え方に極力近づけるため、色の彩度をかなり下げているのですが、実際の観望では、きめ細かいM42の造形と合わせて、色彩も非常に繊細な感じに見えます。
(ご覧になる皆さんのディスプレイ設定によっては、白黒画像と変わらなかったりすることもあるかも知れません。申し訳ありません)
ちなみにこの日の空は肉眼で3等星が見える程度の条件でした(中程度の光害地)。
以上の報告は、もちろんわたくしの個人的な体験にすぎませんので、万人がこの方法で色を見られるとは限らないのですが、もしこの方法を試して、今まで見られなかったM42の色を確認することができた方がおられましたら望外の喜びです。
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さて、M42の色を確認するにあたっては、以上のような人間によるアナログなやり方とは別にハード的なアプローチもあります。
これは反射望遠鏡を使った場合に限られるのですが、反射望遠鏡に使われている反射鏡は、表面にアルミメッキが施されているのが普通です。
例えばニュートン式では主鏡と斜鏡の2回反射がアルミメッキで行われるのですが、アルミの場合赤の光の反射率が悪く、画面が少し青っぽく、色温度でいうと高くなってしまいます。
そのため、屈折と反射では色の見え方にだいぶ違いが出てきます。
たとえば、二重星団を屈折で見ると色とりどりの星々が美しく見えるのに対し、反射では少し白黒っぽく見えてしまいますので、今回のM42の色を見るような企画には屈折望遠鏡のほうが向いているとも言えます。ただ、色は大口径の方が見えやすい傾向が強いので、やはり大口径反射を使いたくなりますよね。
反射望遠鏡によるアルミメッキの2回反射は下のグラフでいうと、赤の線の部分になります。
これを見ると、2重星団の彩度が落ちるのもうなずけますね。
( インディゴさんのサイトより )
そこで、最近では、反射でも屈折並みの彩度を求め、周波数特性のフラットな銀メッキミラー( 青の線 )の利用が始まっています。
「メガネのマツモト」の正立ミラー「EMS」では早くから銀メッキミラーに取り組まれてましたが、銀メッキのアドバンテージについては、インディゴさんの「EMS研究 」に詳しいです。
http://imdiygo.la.coocan.jp/EMS_study.htm
以前、双望会で主斜鏡を銀メッキ化した30cmドブソニアンを見せてもらったことがあるのですが、M42や二重星団が圧倒的な彩度とコントラストで描写され、一種のカルチャーショックを受けたことを覚えています。30㎝の口径と銀ミラーによるパフォーマンスをもってすれば、今回の「玄関先ドタバタ作戦」などは不要であるともいえます。
このように、周波数特性がフラット、反射率も高いと良いことづくめの銀メッキミラーなのですが、唯一の欠点は、腐食しやすい銀の表面を守るためのコーティングにコストがかかるため値段が非常に高いことです(特に大口径ならなおさら)。しかし、最近の新しいアルミメッキミラーのものは色が見やすい傾向があるようにも感じていますので、この辺は今後の検証が必要な部分かとも思います。
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さて、あなたは「玄関先ドタバタ作戦」でM42の色彩をご覧になれましたか?
コメント
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uwakinabokura
がしました