搭載可能重量5㎏のAZ-GT i 経緯台ですが、実測重量5.8㎏のC8(20cmF10シュミット・カセグレン)を搭載して実用できるか、を確かめます。
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C8は20cmとしては破格に軽く、鏡筒も短いためモーメントが小さく、非常にすぐれたパッケージングの望遠鏡と言えます。随分以前に手放して後々後悔していたのですが、今回ケニ屋さんの好意で再入手できる機会に恵まれましたので、届いた日に早速の実戦投入となります。

C8にはQHY5III485Cを取り付けています。
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反対側には電視ファインダーとして、スーパータクマー105mmF2.8とASI462MC。
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2つのCMOSカメラをそれぞれSharpCapで開くとこのような2画面になります。
m42 find
この状態ではC8はfl=2000mmですが、ごらんのとおりの画角なので、AZ-GTiの自動導入ではまず視野に入って来ません。しかし、十字線を設定した電視ファインダー側の視野内には引っかかってきますのでコントローラーで中央に導くと、fl=2000mmの「激狭画角」にも導入可能となるわけです。これは慣れてくると結構便利でした。

本日は月齢17、透明度もあまり良くなく肉眼での限界等級は2等+くらいでしょうか。

まずはノーフィルターでM42中央部の拡大ですね。2秒露出 40スタック Gain40 20㎝F10
m42 2s 40stack gain40
ノーフィルターならではの自然な色表現がいいですね。M42の中心部は相当明るいのでF10でも出てくれますが、やはり光学系としては暗いので、この後レボリューション・イメージャーに付属していた0.5×レデューサーを入れ、20cmF5(fl=1000mm)で運用しています。

M42 4秒露出 40スタック Gain40 0.5×レデユーサー20㎝F5 IR640proフィルター使用
m42 4s 38stack gain40 ir640
IR640proを入れると大分暗くなる印象ですね。Hα成分も透過するので赤一色に表現されました。

ここで気づいたのですが、AZ-GTiの追尾が不安定というか何かのきっかけに星がどんどん流れてきます。追尾が成功する時間帯もあるので、もう一回導入し直して、うまくいくのに期待、という感じの運用でした。やっぱり過積載の影響なのでしょうか?

で、このあとIR640フィルターのまま、NGC2903に行ってみたのですが、かすかにしか見えず星の数も少ないのでライブスタックもできませんでした(30秒くらい露出時間を取ってもダメ)。まあ月齢17の月も近くにあったし、コントラストは上げづらい条件ではありましたが・・・

で、またM42に戻って、フィルターをsvbony clsにしてみます。
M42 4秒露出 52スタック  Gain40 0.5×レデユーサー 20㎝F5
m42 4s 52stack cls gain40
やっぱり、カラーの方が派手でいいですね。

フィルターをQBPに換えてみます。
M42 4秒 31スタック qbpフィルター Gain40 0.5レデユーサー20㎝F5
m42 4s 31stack qbp gain40
M42みたいに輝度の高い対象の場合、clsもqbpもほとんど変わらないですね。

この後、M81、82とかしし座トリプレットとかNGC4565とかいろいろ行ってみたけど、どれもライブスタックが全くできず。追尾も不安定で16秒とかの露出時間でも星が流れる始末なので全く運用ができません。

M1で何とか半分くらいライブスタックが成功
M1 16秒 12スタック qbpフィルター Gain40 0.5レデユーサー20㎝F5
m1 16s 12stack qbp gain40
何とかM1のフィラメント出したけど、スタックは半分以上失敗してて、あまりにも時間的な効率が悪いし、0.5×レデューサーが周辺星像をかなり悪化させていますね。ひょっとして星の変形がライブスタックがうまくいかない一因になっているかも?

M97 32秒 6スタック qbpフィルター Gain40 0.5×レデユーサー 20㎝F5
m97 32s 6stack qbp gain40
M97はさらに露出が長くかかり、ライブスタックも1/3くらいしか成功してません。あまりにも時間が無駄になる効率の悪さにだんだんいやになってきました(笑)

で、その心境を見透かすかのように・・・・
kumo
雲がやってきました。今日はここまでかな。まぁ、いろいろわかったこともあったので収穫はありました。
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やはりC8をAZ-GTiに載せての電視観望での運用は少し厳しいものがありますね。主に下にあげた2点です。

1 追尾が安定しない(過積載のため?)

しかし以前、総重量6㎏のGINJI150FNでやった時は追尾は問題なかったのです。AZ-GTiが経時変化で劣化した?

2 ライブスタックが成功しない(Fが暗いため?)

今までF3前後の明るい光学系で個人的セオリーを確立してきましたので、F10の暗さは論外、0.5×レデューサー使用のF5でも暗く感じてしまいます。露出時間がかかり、しかもスタックの歩留まりが悪いとなると、時短要素を最重要視している自分にとっての電視観望のメリットがほとんどありません。

しかし、長焦点による小宇宙(銀河)や惑星状星雲の拡大画像を電視観望で得るためにはC8の運用を実現するしかないと思っていますので、何とかしたいところではありますね。

AZ-GTi-DX、搭載可能重量8㎏、59,800円とか出ないでしょうかね?