IMX462センサーを搭載した,ASI462MCとマルミR2フィルターによるHα~近赤外電視観望をおこないます。

IMX462はこのような特性を持っており、現行のCMOSカメラに搭載されているセンサーとしては近赤外域での最高感度を誇ります。
ASI462-QE-curve_655
これに、組み合わせるマルミR2フィルターは、おそらく下のHOYAのグラフの「R62」相当。
ns-059-b
620nmあたりより長い波長を通すロングパスフィルターになります。特筆すべきは864円(配送料無料)という激安価格。コストパフォーマンスは最高の部類です(天リフ編集長のライブ配信でこのフィルターを知り、その場で発注 笑)。

この2つを組み合わせることで、光害成分をカットしつつ、Hα~近赤外にかけての帯域を連続光でゲット。小宇宙(銀河)などの連続スペクトル天体の電視観望に好適な環境になるはずです。

光学系は、fl=437mm、合成F3.1 のSP140SS改シュミット・ニュートンを使用。ASI462MCのセンサー面積は5.6×3.2㎜なので、434㎜での画角は0.7×0.4°。この狭さはAZ-GTiの自動導入ではフォローできないため、QHY5III485Cによる電視ファインダーでの導入を併用しています。

今回は、延長ケーブルを介したパソコンとCMOSカメラの接続が不調だったので、短いUSBケーブルでダイレクトに接続。パソコンをベランダに出し、HDMIケーブルを室内に引き入れてTVをモニターしつつ無線マウスで操作しました。
IMG_2211
以下、SharpCapでライブスタックを画像処理をおこない、全てモノクロにいたしました。また必要に応じて画面の2/3~1/2の部分の中央拡大になっています。

天候は快晴で月はなく、限界等級は2等正程度。しかし透明度が悪くかなり眠い状態の空で、赤外のパフォーマンスを検証するには絶好の条件(?)でした。

さて、というわけでやはり小宇宙(銀河)を狙うとなると最初に昇ってくるのは、しし座のNGC2903になりますね。

NGC2903 90stack 8s gain300 r2フィルター
2903 90stack 8s gain300 r2
やはり、462センサーの赤外感度の高さが生きる仕上がりになっていますね!

では、「電視観望で見る春の小宇宙祭り」どんどん行きます。

M95 76stack 8s gain300 r2フィルター
m9576stack 8s gain300 r2
M96 75stack 8s gain300 r2フィルター
m96 75stack 8s gain300 r2
しし座トリプレット三連発行きます。
M65 60stack 8s gain300 r2フィルター
m65 60stack 8s gain300 r2
M66 46stack 8s gain300 r2フィルター
m66 46stack 8s gain300 r2
NGC3628 42stack 8s gain300 r2フィルター
3628 42stack 8s gain300 r2
M104”ソンブレロ” 60stack 8s gain400 r2フィルター
m104 60stack 8s gain400 r2
ソンブレロも当初Gain300でやったのですが、ライブスタックが正立せず、400にあげることで何とか認識してくれました(ASI462MCのGainは0~600)。バックグラウンドが少し明るかったのでしょうか、そこそこ輝度の高いソンブレロですのでもう少し淡く広がった部分も出て欲しかったところです。

NGC4565”ニードル” 50stack 8s gain300 r2フィルター。Gainを300に戻してライブスタック成功。
4565 50stack 8s gain300 r2
4565はやっぱり大きいですね。ちなみに、これを同じ光学系・ノーフィルターでやった時はこんな感じでした。
NGC4565 30stack 8s Gain300 ノーフィルター
4565 8s gain300 30stack
赤外ではノーフィルターの時より、淡い部分のコントラストが少し上がっていますね。しかもノーフィルターの時は3等くらいまで見えるかなり抜けの良い空の条件。赤外観望が空の条件をある程度克服するリザルトが得られました。

M64”黒眼” 52stack 8s gain400 r2フィルター
m64kurome 52stack 8s gain400 r2
Gain300でライブスタック失敗。再び400まで上げています。

M63”ひまわり” 53stack 8s gain400 r2フィルター
m63himawari 53stack 8s gain400 r2
何かピントが怪しいのですが、この時は気づかず。

次のM51で明らかにおかしい? と。
M51 36stack 8s gain300 r2フィルター
m51 36stack 8s gain300 r2
気温が下がってピント位置が変わったのかな? で合わせなおして再度。
M51 33stack 8s gain300 rフィルター
m51 33stack 8s gain300 r2
こんな感じかな? (ビクセンのスライド接眼部でのピント合わせなので、かなり裏技的に微妙な合焦操作が必要になります。素人にはお勧めできない 笑)
ピンボケのより少し中央拡大。やっぱりピント甘いと小宇宙のディーテール表現にも少し影響してきますね。

M101”回転花火” 100stack 8s gain300 r2フィルター
m191 100stack 8s gain300 r2
巨大なフェイスオン銀河ですが、これ淡いんですよね。空の条件が悪い時は腕があんまり出ません。個人的にはその日の透明度をはかる指標天体になっています。

一応、連続スペクトルつながりで球状星団も。
M3 30stack 8s gain300 r2フィルター
m3 30stack 8s gain300 r2
かなりギラギラに出ましたが、球状星団はやっぱりカラーの方がいいでしょうか。

この時点で午前4時過ぎ。半分寝てました(笑)。サーフボードで終了!
M108”サーフボード” 72stack 8s gain300 r2フィルター
surf 72stack 8s gain300 r2
というわけで、オールナイトにて、Hα~近赤外電視観望による「春の小宇宙」巡り、でした!

今回、カラーCMOSカメラであるASI462MCをモノクロでやってみましたが、どうせ仕上がりがモノクロになるのなら、本当はカラーより圧倒的に感度の高いモノクロCMOSでやった方が効率がいいのです。ぜひともIMX462のモノクロ版のリリースを望みたいですね。また462よりセンサー面積が広くピクセルが大きくて高感度、赤外感度も高い「理想のセンサー」IMX482搭載のCMOSカメラの登場も切望しております。482なら感度高いからカラーでもいいか。

しかし、たとえばIMX290センサーにように近赤外の感度がやや低くなっているものでも、モノクロCMOS(たとえばASI290MM)なら赤外で十分実用できると考えられます。
そういう意味では、

SVBONYのSV305のモノクロ版「SV305M?」がリリースされれば、赤外電視観望入門機として決定版になる

と思うのですが・・・・?

SVBONY先生ならやってくれると信じています!・・・って何か変な終わり方になってしまいましたけど(笑)。