今最も熱いジャンル、「近赤外利用」を語る会議をおこないました!
会議では近赤外利用について本当に多岐にわたる話題が語られ、レポートもまとめきれないのですが、内容のごく一部を載せておきます。
まず、天リフ編集長のフィルターレス改造α7sによる近赤外利用です。今でこそブームの兆しが伺える近赤外ですが、まだ誰も注目していない時期(約7年前? だったか?)にデジタル一眼を使っておこなっておられたのはさすがです。本当の先駆者ですね。
しかし、その後通常の撮影の方に注力したので赤外の方は棚上げになっていたとも。
ここに来て、時代がやっと編集長に追いついてきたとも言えます。
さて、昨今のブームの”火付け役”とも言えるcokatooさんは13cmによるライブ中継をおこなってくれました。
このNGC2903は「取り急ぎ態勢」で中継してくださったので、ダークを引く等の処理をしておらずちりめんノイズが出てはいるものの、何と露出わずか2秒で銀河の腕の周辺部まで表現され、SQM18等台光害地での近赤外利用パフォーマンスを十分に示すものでした!
cokatooさんの近赤外利用に関する提案はこちで詳しく拝見することができます。
utoさんは、金メッキミラーによる近赤外への独自アプローチをおこなっておられます。
この金色の美しいミラーは、去年の暮れにエドモンドオプティクスで「今日中なら半額」キャンペーンでゲットされたそうです。そして、この金メッキミラー では、何とノーフィルターにて光害をカットしつつ、最強の効率で近赤外域を利用するという驚異のアドバンテージが得られています!
さらに、最新のデジタル機器と究極のアナログ「手動」を融合しヒンジトラッカーによる手動追尾でライブスタックを成功させるという快挙も!
独自の天文ライフスタイルを提示し続けるutoさんのブログからは目が離せない展開となっております。
ちなみに、「赤外探偵団」では金メッキミラー使用の方を「ゴールド会員」として認定することにいたしました(笑)。
ケニ屋さんは、最近ASI174MMを入手されたそうですが、 発注にあたっては、何だか知らない間に指が動いていたそうです(笑)。で、このモノクロCMOSで中継をしてくださったのですが・・・
中継が始まったとたん雲が広がるという「あるある」でこんな感じになり、残念でした。その後、いったん仮眠を取られて午前2時からご自分のシステムで70個もの銀河をゲットされたようです。そのうちの一枚M88(15秒 7スタック)をTwitterにあげておられたので、転載します。
さて、ケニ屋さんのような高感度モノクロCMOSを導入すると最強なのですが、やはりそれなりのコストがかかりますので、とりあえずお試し版として、お値打ち価格のモノクロCMOSは何か? にこの後話題が移りました。
結論としては、やはりIMX290のモノクロセンサーを利用したCMOSカメラになるだろうかね、というところ。
さらに最近サイトロンジャパンさんが日本代理店になった、player-one-astronomyのMARS-C($329)あたりになろうかと思いますが、どれも価格的には大差がないですね。後発メーカーであるplayer-oneの6角形のCMOSカメラには価格的なブレークスルーを期待していたのですが、この価格では実績のあるZWO等の牙城を崩すのは難しいような気もします。
ここはやはりSVBONY SV305のモノクロ版に期待が集まります(19.800円を希望!)
SV305といえば、これのフィルターレス改造をおこなった智志さんが、近赤外利用をおこなっています。M65、66(会議中には間に合わなかったので、あとでTwitterにアップされていたものを転載しました)
(Kenko New Sky Explorer SE 150N サイトロンジャパン IR640 Pro AstroStreet GSO 0.5x フォーカルレデューサー SVBONY SV305(フィルターレス改造) Sky-Watcher AZ-GTi (赤道儀モード) DeepSkyStacker Lightroom (スマホ版) ほか Gain=30.0で30s×95枚スタック 総露出時間 47.5分 自宅2階ベランダにて撮影)
星像が暴れまくっていたそうで星が点におさまらなかったものの、ローコストの(しかもモノクロではなくカラー)CMOSカメラでも、工夫次第で近赤外利用が十分なパフォーマンスを発揮する可能性を提起してくれています!
さて、自称「初心者」(笑)のタカsiさんも最近、光害地での近赤外利用による銀河の撮影を始められ「赤外には期待しかない」とおっしゃっていました。
c11にスターリゾナー0.72×レデューサー、 アストロノミック642フィルターによるM81、まずは一枚画像。
(ちなみに、副鏡が補正板で保持されているC11では本来は出ないはずのスパイク光条がありますが、これは「あえて」取り付けられた疑似スパイダーによるもの。L画像として、ミューロン等の光条が出る鏡筒で撮影された画像と合わせる上での必要性からこうされているそうです)
この他にも近赤外による素晴らしい銀河の画像を多数見せてくださっています。
しかしそれは、満月時に休めなくなり「一月を通じての稼働」が強いられるようになった両刃の剣でもあります(笑)。
このように従来では考えられなかった状況へと大きく変わってきたのは、何といってもCMOSカメラが小さくて軽く、高感度・高画質になったということに尽きます。このカメラの性能向上によって運用する鏡筒・架台の最適解も変遷していき、今後目が離せない展開になっていくだろう、という結論で会議は終了いたしました!
さて、月例開催をおこなってきましたWeb会議「オープン双天会」ですが、今回を持って最終回、今後は近赤外利用をトピックの中心とする「赤外探偵団」的な集まりとして随時開催いたします。
例えば、超高感度で赤外感度が高い「IMX482センサー」搭載カメラが発売された、等のブレークスルー(これが出れば一挙に機材の小型化が実現するくらいの大事件)が起これば、「緊急討論会」的に対応策を協議するべく招集する可能性がありますので、その際はお集まりいただけるとうれしいです!
コメント
コメント一覧 (8)
私も月面写真でのIR Pass フィルター利用から銀河撮影への応用に食指が動いている者です。
もしご経験から以下の点について知見をご教示いただければ幸甚です。
1)ASI224MCは近赤外域のRGB感度が揃って、しかも比較的高感度が保たれるということですが、ASI294MCとは大きく異なるのでしょうか?この領域波長でのデータがカタログにないようですので。
2)IR640フィルターを使用した場合、どのくらい露出時間あるいはゲインを上げる必要があるのでしょうか?現在は294MCでGain 380、20秒x60分を基本条件として撮影しています。
3)IRフィルターには640〜850まで波長によっていくつか製品があるようですが、かなり効果は異なるんでしょうか?それともあまり変わらないのか?
それにしても30年前と比べて周辺機器、ソフトは大きく進歩したものですねえ!私のような初心者アマチュアでは到底無理だった惑星表面模様やNGC銀河がそれなりに自分で撮像できるのですから。
シベット様には今後も近赤外域での電視観望路線を極めていかれることを希望します。
uwakinabokura
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ブログ記事を拝見しある程度理解いたしました。
当地は自宅庭先での観望、撮影になりますが、田園地帯で地平近く以外はそれほど光害の影響は強くありません(神戸あたりの街中に比べるとずっと良好でむしろ夜半以降の山霧が問題!)。
今回ご教示いただいた内容を考案してボチボチ試してみます。
最近のTwitterでもアンケート調査がありましたが、Sharpcapの使い方にしろ、フラット、ダークの撮り方にしろ、これといった教科書がないのが困りますね。ブログや天文雑誌の特集を探して自己流の方法を探索するのですが、根本的な不安が拭えませんね。まあそれが仕事で飯の種ではないので、それが面白いといえばそれだけのことですが。
またいろいろ面白い記事をお願いします。ご苦労様でした。
uwakinabokura
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昨夜はありがとうございました^^
IRパスフィルターを使った新境地を垣間見れたように思います。
皆さん、それぞれのアイデアで近赤外域を活用していこうとするスタートラインだと思うので、そのタイミングに参加できたのをとてもラッキーだと感じました。
今後ともよろしくお願いいたします。
uwakinabokura
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uwakinabokura
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